第27話 歓迎会②
そして、わたしとアイリスは宿舎に着いた。
そして。
「最初に来た時、所々壊れてたり、汚れてたりしてたのに。何か直ってるね」
わたしは、宿舎を見てそう言った。すると。
「ああ、この間、ラングとやり合った時のヤツか。そういや、直ってんな」
アイリスが、わたしにそう言ってきた。
「ラング?」
「同じメテオ・ビーストのヤツだよ。あの野郎、あたしのこと、『未だに身長伸びねぇな』とか、『そんなんじゃHWMのパイロットから下ろされるぞ』とか抜かしやがってな。それでやり合ったんだよ。ちょっと顔がいいからって、図に乗ってんじゃねぇっての」
『…その人、男の人だな。…その口振りからして…』
「おまけに、レイナもシルヴィアも隊長も、どっちが勝つか、賭けしてたらしくてよ。ちゃんと、あたしに賭けてただろうな。あいつら。ラングなんかに賭けてねぇだろうな…」
その事を思い出してるのか。アイリスが、ムカムカした声でそう言ってきた。
『えっ?賭け?』
「ねぇ、アイリス…」
「何だよ?」
「賭けって何?賭けって?」
アイリスにそう聞くと。
「どっちが勝つかの賭けに決まってんだろ。そういうこと起こったら、自然とそうなんだよ。ウチは」
わたしに、そう答えてきた。そして。
「ああ、あたしらの模擬戦でもやってるぜ。きっと。その時は全員参加。抜けるのは無し。他のヤツならともかく、それに関してはな」
更に、そう言ってきた。
「…何それ…」
わたしは、小さくそう言った。大佐は、それ知ってるのかな?
「まぁ、今回のはノーカンになってんだろうな。大佐が止めたし。いつもなら、隊長が大佐に許可もらって、模擬戦やるんだけどな」
やっぱり大佐の許可はもらってなかったんだな。そうじゃなかったら、大佐が止めに入るわけないしね。
「ねぇ、大佐は知ってるの?賭けのこと?」
「さぁな。知らね」
わたしの問いに、アイリスがそう答えてきた。
『…何かとんでもない部隊だな。わたしに合ってるって気がしたの勘違いかも…』
…まぁいいか。それで何が変わるわけでもないし…。最前線に出られないようなところに飛ばされるよりはマシか…。
「そろそろ入りましょう。こんなところで、いつまでも話してたってしょうがないし」
そう言って、わたしが宿舎に入ろうとすると。
「瑞穂」
「んっ?」
「耳塞げって言いてぇけど、翻訳機着けてたら出来ねぇだろうし。とにかく驚くなよ」
アイリスが、わたしにそう言ってきた。
「どういう意味?」
「入ったら分かる。あたしん時もそうだったし。あたしらが任務から戻ってきて、宿舎にいたら、昨日そうなってただろうな。きっと」
そういえば昨日、宿舎に来た時はメアリーさん以外、誰もいなかったな。アイリスと、もう一人。レイナ少尉だったか。二人とは、鉢合わせって感じだったしな。
『まぁ、とにかく。入るか』
そしてわたしが、宿舎に入ると。
バァン!!バァン!!バァン!!
物凄い音が、周りに響いた。
『この音、手榴弾?』
そして、色とりどりの煙が、周りに立ち込めた。
「ケホッ。ケホッ。何これ?」
すると。
「ようこそ!!メテオ・ビーストへ!!」
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