第22話 模擬戦⑩

 ドドドドッ!!


 わたしは、ライオットのライフルを、あるところに向けて、発射した。


 そこは。


 アイリスのライオットのロングライフルだ。


 そして。


 ドォン!!


『よし。命中』


 わたしが放った弾は、アイリスのライオットのロングライフルに命中した。


 ****************


「ロングライフルを!!こいつ!!」

 ドゥンッ!!

 瑞穂の放ったライフルの弾に当たったロングライフルは、アイリスのライオットの右手から、飛ばされる形で地面に落ちた。

「クッソ!!アレじゃ使いもんになんねぇ!!」

 アイリスは、モニターで、地面に落ちたロングライフルを見てそう言った。


   ***************


「…アレのために、左手に持ち替えたの?あの人…」

 後部座席の少女は、アイリスのライオットの様子を見て、小さくそう言った。

「…凄いですね…。ライフルで、あんなの普通出来ませんよ。明らかにピンポイントで狙ってやりましたよ。アレ…」

 運転席に座る男がそう言うと。

「ああ。しかも左手に持ち替えて、即座にやるとはな。右手でやるより、左手でやる方が楽だからか?…腕狙った方が楽だろ?あんなことするより…」

 隣の席に座る男がそう言ってきた。確かに凄いが、手間がかかるやり方だ。腕を狙った方が、遥かに効率的だ。わざわざ左手に持ち替える必要もない。

 そして男は、後ろを振り返ると。

「だけどヤベェな、こりゃ。このままじゃ、お前の一人勝…」

 ドンッ!!

「うるさい。ラング」

 レイナは、その男。ラングの席を蹴ってそう言った。

「…どうしたんですかね?いつもなら、喜ぶところでしょう。こういう時…」

「知るかよ。おい。どうなってんだ?シルヴィア?」

 ラングは、レイナの隣にいる少女。シルヴィアにそう聞くと。

「分かんない。何かずっと黙ったままだし」

 シルヴィアは、ラングにそう答えた。

「そういや、ずっと静かだったな。どういうこったよ?なぁ?ブリッツ?」

「…知りませんよ…」

 ラングの問いに、運転席に座る男。ブリッツはそう答えた。

『…そろそろ終わるかな…。…早く見たい…』

 レイナは、指で唇をなぞりながらそう思った。


 早く見たい。早く見せて欲しい。


 あの子の姿を。あの少女の姿を。


 あの長い黒髪の少女の姿を。


『…ホント初めて…。こんな気持ち…』


 レイナは、指で唇を、更になぞりながらそう思った。


   **************


『…これ以上やると、歯止めが利かなくなりそうになる…。…模擬戦で良かったかも…』


 これだけやれば充分だ。


『だから!!』


 わたしは、ライオットの左手のライフルを、また右手に持ち替えると。

「これで終わり!!」

 そう言うとわたしは、ライオットのライフルをアイリスのライオットに向けた。


   **************


「ふっざけんな!!これで終わるかよ!!」

 アイリスはそう言うと、ライオットの腰に装備させていたハンドガンを抜いて、瑞穂のライオットに向けた。


   **************


「ハンドガン!?だけどこっちの方が!!」


 その時。







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