第15話 模擬戦③

「ちょっと。誰がエースだって?」

 ボカッ。

 アイリスと名乗った彼女の後ろから現れた女性が、そう言って彼女の頭を殴った。

 その女性は、明らかにアイリスと違って、明らかにわたしより年上って感じだ。大人っぽい、わたしと同じくらい長い髪の綺麗な女の人だ。

「エースはわたしよ。わ・た・し。勝手にエース名乗んじゃないわよ」

 その女性は、アイリスにそう言うと。

「ハァッ!?ざっけんな!!前回の戦闘で、一番HWM倒したのあたしだろうが!!だから、あたしがエースだ!!」

 アイリスが、その女性にそう言ってきた。

 すると。

「バッカか!!あんたは!!あんな敵、一番倒したからって、エース気取んじゃないわよ!!この貧乳が!!」

 ムギューー!!

「んだとーーっ!!!胸でかいからって、いい気になんな!!」

 ムギューー!!

 その女性とアイリスは、お互いの頬をつねりながら、そう言い合った。

『…やめてよ。そんな言い争いするの…』

 わたしが、踵を返すように、二人に背を向けようとすると。

「ちょっと待ってよ。あなただよね?今日入って来た人って」

 パンッ。

 アイリスの頬から手を離した女性が、わたしにそう言ってきた。

「…はい。上坂瑞穂少尉です…」

 わたしがそう答えると。

「へぇ~♪わたしと階級一緒か♪わたし、レイナ・フローレンス少尉。よろしくねっ♪」

 その女性。レイナ・フローレンス少尉は、軽いウインクをして、わたしにそう名乗ってきた。

「はい。だけどわたしは本日付けで、少尉になったばかりなので…」

「ふーん。あんま嬉しくない顔だね。大佐からのサプライズ、気に入らなかった?」

 …サブライズって…。

「昇進だとか、出世とかには興味ないんで」

 わたしは、レイナ少尉にそう答えた。すると。

「ますます、お高くとまったようなこと言ってくんな」

 ピクッ。

「…その言い方やめて…」

 アイリスの言葉に、わたしがそう言うと。

「そうだよ。そういうのに興味ないのは、わたしら全員おんなじでしょ?曹長さん♪」

 レイナ少尉が、ニヤっとした顔をして、アイリスにそう言った。

「曹長なの?あなた?」

「そうだよ。何かあんのかよ?」

「…別に…」

 わたしは、アイリスにそう言った。ただ言ってみただけだし。

「てんめぇーーー!!!ちょっと階級上だからって、いい気になんな!!ここでそんなもん通用しねぇからな!!!」

「…あっ、そっ…」

 そう言って、わたしが立ち去ろうとすると。

「待て!!てめえ!!まだ話終わってねぇぞ!!」

 アイリスが、更に声を上げて、わたしに突っかかってきた。

 そして。

「あたしと戦え!!ホントのエースが、どういうモンか教えてやる!!あたしと模擬戦やれ!!模擬戦!!」

 アイリスが、わたしにそう言ってきた。

『ハッ?模擬戦?』









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る