第14話 模擬戦②
「ここがわたしの部屋か」
わたしは、端末機に表示されている部屋番号の前に立ってそう言った。
そしてドアの開閉スイッチを押すと、開いたドアから、わたしは部屋に入った。
『普通の部屋だな。今までの宿舎と、そんなに変わらないな』
机。タンス。クローゼット。物置。ベッド。今までいた部隊の宿舎と、そんなに代わり映えはしない。今までの所もこんな感じだった。
『…ああいう外見の宿舎だったから、思わず部屋も方もどうなんだろって思ってたんだよね…』
まぁいい。そんなの気にしてたって、仕方ないことなんだし。
わたしは、ベッドの横に荷物を置くと、そのままベッドに座り込んだ。
「…一人部屋か…。わたしにとっては、そっちが一番安心したな…。養成所の寮の時は相部屋で、軍に入って、最初の頃も相部屋だったりもあったしな…」
わたしは、小さくそう呟いた。
だんだん一人部屋になっていったけど、相部屋だった時は、ホントキツかった。
『…あの頃は一人の方がキツかったのに…。…今では一人の方が楽になってる…。…こっちに渡って、軍の養成所に入った時から…』
……やめよ……。
スクッ。
わたしは、ベッドから立ち上がると。
「…とりあえず宿舎の方、色々回って見るか…」
わたしはそう言うと、再びドアを開けて、部屋の外に出た。
「おい。お前か。今日入って来た新入りってのは」
部屋を出た矢先、一人の女の子が、わたしにそう言ってきた。
ツインテールの髪の、小柄な女の子。歳はわたしと同じくらいかな。まぁわたしより年下の子なんて、そんなにいるわけじゃない。そんな子がいる部隊もあるけど、HWMの部隊のパイロットで、わたしより年下の子なんて会ったことはない。大抵、年上か同い年くらいの人ばっかりだった。年上の人の方が多いくらいだ。
「…そうだけど…」
わたしがそう言うと。
「お前、エースとか呼ばれてるそうじゃねぇか。あんまそんな風に見えねえな」
彼女は、強気な声でそう言ってきた。
「…好きでエースなんて呼ばれてるわけじゃないよ…」
そんなの周りが言って来てるだけだ。撃破数がそうだからって、わたしはエースなんて呼ばれるなんて望んでない。
だって。
そんなの、わたしの叶えたい目的じゃないし
「ケッ!!お高くとまった奴らは、皆そう言うんだよ!!」
ピクッ。
お高くとまった奴。
その言葉を聞いて、わたしは、カチンときた。
そして。
「わたしは、そんな人間じゃない」
わたしは、彼女にそう言っていた。
普段なら、こんなのを言われて、カチンときても受け流すけど、彼女の強気な口調を聞いて、何故かイラッとして、そんな言葉が思わず口に出た。
すると。
「ホントはお前の方から先に名乗るもんだけど、あたしの方から先に名乗ってやる。あたしの名前はアイリス。アイリス・ヴァリキュリア。このメテオ・ビーストのエース様だ!!」
アイリス・ヴァリキュリア。
彼女は、わたしに向かって、声高らかにそう名乗ってきた。
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