第7話 転属命令②

 メテオ・ビースト。


 その名前には聞き覚えがある。


 確か。


「それって、あの特別遊撃部隊のことですか?」

 わたしは、司令官にそう聞いた。

 すると。

「そうだ」

 司令官は、わたしにそう答えてきた。


 特別遊撃部隊。


 通称『何でも屋』


 わたしが、その部隊について知っているのはそれくらいだ。

 噂とかで、よく話に出てくるけど、詳しいことは知らない。何だか皆、詳しく話したがらないって感じだからだ。


 数々の戦場を転々と渡り歩く遊撃部隊。

 そしてどういう経緯でかは知らないけど、『何でも屋』なんて通称が付くようになった。

 もっともそんな通称なんて付けたのは、軍のお偉いさんだけど。目の前にいる司令官みたいな。


『いわく付きってことは、間違いないよね。何でも屋なんて通称が付くくらいなんだから』


 そして。


「分かりました。慎んでお受けいたします」

 そう言ってわたしは、司令官に敬礼した。

「すんなりと受け入れたな。何か言いたいことはないのか?」

「ありません。言ったとしても、何も変わらないでしょうから」

 司令官の問いに、わたしはそう答えた。

 最前線に出られないようなところなら抗議するだろうけど、そういうところじゃないなら、何も言うことはない。


 むしろ。


『何だかわたしに合ってる気がする』


 そんな感じがした。漠然とだけど。だから何も言うつもりはない。


 すると。


「用件は以上だ。もう下がりたまえ」

「はい。ではこれで。失礼します」

 わたしはそう言って、司令官に敬礼すると、そのまま司令室を出た。


 タッタッ。


『…特別遊撃部隊。何でも屋…か…』

 …それにしても、メテオ・ビーストって…。

『随分派手な部隊名付けてるんだな。一体どういうところなんだろ?その部隊…』

 廊下を歩きながら、わたしはそう思った。


『そんなのどうでもいいか。わたしに合ってる感じがするし。ううん、そんなのどうでもいい。わたしに合ってようが合ってまいが、そんなの関係ない』


 わたしにとって、一番大事なのは。


 目的が叶うこと。


 ただそれだけなんだから。








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