第4話 プロローグ④

 わたしは、後ろにいる本隊の方を見た。

 モニターには、ライオット。タトルコス。そしてボーンワーカーが映っている。

『…ウチの本隊は…。…徐々に立て直してる…。相手の足並み、ちょっと乱れてる?』

 わたしのいた小隊を含めた、こちらの本隊は、徐々に立て直してる直して来てる。だけど、敵の方は足並みが少し乱れてる。それが本隊が立て直せてる理由か。

「…この前方の部隊が、一気に攻めて、こっちを全滅させる…。だけどわたしが、それを全滅させたから、予定が狂って足並みが乱れた。そんなところか」

 わたしは、その様子を見てそう言った

『だったら、後退なりして、体制立て直しなさいよ。こっちもこっちなら、あっちもあっちか』

 …まぁいい…。…目的も叶わなかったし…。

『さてと。こうして、突っ立てるわけにもいかない。だけど今、本隊に戻るってのも…』

 戻っても、目的が叶うとは思えないし。だけど黙って見てるわけにもいかない。

 カシャッ。

 わたしは、ライオットのライフルを腰にマウントさせると、周囲を見渡した。

 そこには。


 バズーカ砲。タトルコスが使っていた武器が落ちていた。


『…こんなの使うの好きじゃないんだけど…。仕方ない』

 そしてわたしは、ライオットの手をバズーカ砲に伸ばすと、それを持たせた。

 するとモニターに、そのバズーカ砲の情報が映った。



 HWMの装備は、基本的にどの軍の、どのHWMでも使える。もっとも敵側の武器を使うなんて、そんなにあるわけじゃない。

 それに場合によっては、他の機体が使えないように、ロックを掛けてあることだってある。これはしてないけど。

 そしてHWMが、こうやって武器を装備した場合、その武器の情報が映り出されるようになっている。



「ええと、特に故障箇所は無し。残弾は…、二。…足りない。無駄弾撃ったりするからよ…」

 そう言うとわたしは、また周囲を見た。

「あった。もう一機のタトルコスが使ってたバズーカ砲。あれに残弾がどれだけあるかだな」

『さてと。それじゃ』

 わたしは、本隊とタトルコスが戦っている方にバズーカ砲を向けた。

 タトルコスの方は、前方にいたタトルコスと同じで六機。だけどあっちは、二個小隊。二手に別れる。

 ボーンワーカーの方も同様。二つの部隊に別れてる。

「じゃあ、簡単な方からいくかな」

 ドォーン!!

 わたしは、ライオットに装備させたタトルコスのバズーカ砲を発射させた。

 発射させた先は。

 ドォンッ!!

 わたしが発射させた弾は、ボーンワーカーがいる方に当たった。正確に言えば、ボーンワーカーがいる場所より、少し離れた地面に当たった。

 バァーーーン!!

 それによって起こった爆風によって、ボーンワーカーたちが、次々と横転していく。

「次」

 ドォ-ン!!

 わたしは、もう一方のボーンワーカーの方に、バズーカ砲を発射させた。

 ドォンッ!!

 これも、さっきのボーンワーカーと同様、ボーンワーカーがいる場所より、少し離れた場所に、弾が当たった。

 バァーーーン!!

 そしてさっきのボーンワーカー同様、それによる爆風によって、次々と横転していく。

『よし』

 ギューーン。

 わたしは、ライオットに装備させていた、タトルコスのバズーカ砲を捨てると、もう一機のタトルコスが使ってたバズーカ砲が落ちている場所に、ライオットを移動させた。

 そして、そのバズーカ砲にライオットの手を伸ばすと、それを持たせた。

 モニターに、バズーカ砲の情報が映される。

「これも大した故障無し。残弾は三。いけるな。これなら」

 そう言うとわたしは、タトルコスのバズーカ砲を、本隊が戦っているタトルコスに向けた。

『…ここからが問題なんだよね…』

 これに関しては、ちゃんと狙いを定めないと。さっきのボーンワーカーの時とは違う。

「…わたしが戦ったやつらと同じなら…」

 ドォ-ン!!

 わたしは、一機のタトルコスにバズーカ砲を発射させた。

 バァン!!

 タトルコスの足に、弾が当たった。

 バタンッ!!

 タトルコスは、バランスを失い、倒れ込んだ

 そしてそのタトルコスがいる小隊が乱れ出した。突然の攻撃に戸惑っているんだろう。浮き足立っている。

『やっぱり同じだ。じゃあ、次は』

 ドォ-ン!!

 わたしは、もう一方のタトルコスの小隊に、バズーカ砲を発射させた。

 バァン!!

 一機のタトルコスの足に当たった。

 バタンッ!!

 そのタトルコスが、バランスを失い、倒れ込むと、他のタトルコスが乱れ出した。さっきの小隊と同じように。

「…こんな予想通りの展開はいらないのよ…」

 それを見て、わたしは小さくそう呟いた。

『さて、一発残った。どうしよう』

 そう思うとわたしは、敵の本陣の方を見た。HWMが出撃して来る様子はない。

『わたしが倒したやつらと、今戦ってるやつらが全部ってことかな』

 …だけど念には念を入れて…。

「…目的が叶う見込みないし…。…ねっ…」

 わたしはそう言うと

『見つけた。うん。大丈夫』

 そして。

 ドォーン!!

 わたしは、タトルコスのバズーカ砲に残っていた弾を、敵の本陣に発射させた。

 バァン!!

 弾は、HWMの格納庫の天井に当たった。天井が崩れていくのが見える。

『これなら、HWMが他にあっても出せないでしょ。パイロットも乗り込めないだろうし』


 すると。


 パァーーーン!!


 敵の本陣から、信号弾が打ち出された。


『あの色は降伏のサイン』


 それを見たわたしは、本隊の方を見た。

 体制を立て直したライオットが、タトルコスを撃破していってる。それでか。

『じゃあ、本隊の方に戻るか』

 わたしは、タトルコスのバズーカ砲を捨てると、ライオットを本隊の方に向かわせた。


 ギューーン。


『また叶わなかった。いつ叶うんだろ。わたしの目的』




















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