第4話 友達いるの?
『あんたって友達いるの?』
『は?』
黒江との通話中、そんな事を突然言われた。
『あんたってお昼とかいつも一人じゃない? もしかして友達いないのかなって……ぷぷ。もう少し構ってあげる時間増やしてあげようか?』
『……』
舐められている。
雨森ってオタク君だし、友達いないんだろうなー……よしいじったろwとか考えてそうだな……今度体力測定という
まぁそれはまた後で考えるとして、実際俺にはちゃんと友達と呼べる人間が居る。
お? ちょうどタイミング良くメッセージが来たようだ。
『(ユイ)
『(雨)マジか!? じゃあ初めて顔合わせることになるね!』
『(ユイ)顔見ても笑わないでよw』
『(雨)大丈夫、俺なんかザ・オタクって顔してるから』
『(ユイ)ならこっちも笑わないようにしなきゃなwそれじゃ週末に!』
『(雨)うむ!』
マジか……!週末が超楽しみだ!
『雨』というのは俺で、『ユイ』というのはネットで初めて出来た友達だ。
因みに名前の由来は
付き合いも長くもう三年程こうやって連絡を取りあっているのだが、未だに会うどころか通話すらしたことが無い……だから超楽しみという訳だ。
『ちょっと雨森? 聞いてるー?』
『悪い、ネットの友達にメッセージ返してた』
『ネ友はいるんだ。リア友もちゃんと作りなよ』
『ちゃんといるわ……!佐藤と田中!それとこの間雛森とも友達になったぞ!……あと風祭』
『確かに佐藤と田中はたまーに話してる所は見るわね。雛森さんもまぁ……でも風祭夏とはずっと話してないんじゃ無かった?』
『……俺は今でも友達って思ってるよ』
『……そ。まぁ私みたいな美少女がこうやってよく通話してあげてるんだから、あんま落ち込んでんじゃないわよ』
『この話ってお前から始めたよな……?』
「であるからして〜」
次の日になり、数学の授業を聞きながら週末の事を考える。
ライブだけじゃ寂しいよな……ライブ終わりにどこかで感想会をしたいな。
(あの)
ファミレスでもカラオケでもいい。
あそこが良かった、かっこよかったよねと!
くぅ〜……早く週末にならないかな。
(あの、雨森さん聞いてます?)
(え?)
隣の席に座る女子生徒、
入学してから少し挨拶をした程度でそれ以来話していなかったので、正直驚いている。
そんなに気持ち悪い顔をしていたのだろうか。
(ごめんなんか気持ち悪かった?)
(は? 何の話ですか……これですよ、はい)
そう言われ手渡されたのは一枚の紙。
(何これ……入部届け?)
(はい)
(なんで俺に?)
(はい? あなたが部長じゃないんですか?)
部長……? ん? え? それってつまり……。
「『アイドル同好会』に入ってくれるって事!?」
「ちょ、ちょっと!そんな大きな声で……」
気づけばクラスの視線が俺と御神楽に集まっていた。
「雨森ー……成績がいいからって授業はちゃんと聞かないとダメだぞ、次は怒るからなー」
「すみませんでした!」
立ち上がり頭を下げると、皆の視線も黒板に戻っていった。
ふぅ……まさかの出来事につい……。
(何してるんですか!私まで変な目で見られたじゃないですか!)
(いやごめん、テンション上がっちゃって)
(……黒江ちゃんから何も聞いてないんですか? 私誘われた側ですよ)
(いや聞いてなかった、そうだったのか……)
あいつ……ちゃんと約束を……。
黒江に目を向ける……あいつってあんなに可愛かったんだな。
ありがとう黒江、そう心で呟きながら手を合わせる。
(何してるんですか……気持ち悪いですね)
(気にしないでくれ、感謝の祈りだ)
(……はぁ)
とりあえず話の続きは放課後にしましょうと御神楽に言われた。
しかしまさかアイドルに興味があるとは……意外だった。
いやもちろん見た目や性格なんて気にしていない、どんな人物であれアイドルに興味を持ってくれると言うならウェルカムだ。
とりあえず放課後までに同好会の説明を頭の中でまとめておこう。
放課後になると御神楽の方から声をかけられた。
「雨森さん、入部の続きですけど」
「うん、じゃあ黒江を呼んで……」
「あ、いえ、教室で黒江さん呼んで話すと注目されちゃうんでやめてください」
「あー……分かった」
まぁそりゃそうだな、普通は私ドルオタなんですってバレたくはないよな。
「じゃあ一応『アイドル同好会』がどんな部活動なのか説明を」
「それもいいです。……まぁ入りたい部活が無いだけなので」
「……あー、そういう感じ?」
「すみません、無理なら無理でいいので」
「いや、最低限部員を俺合わせて四人集めなきゃいけないんだ、それだけでも助かるよ」
なるほど、少し勘違いをしていたみたいだ。
この学校には帰宅部が無いからその代わりになる部活を探していたって感じか。
「じゃあ私は帰ります、では」
「うん、ありがとうな」
そう言って俺の横を通り過ぎる時、御神楽のバックから『何か』が落ちた。
「あ、御神楽なにか落ち」
拾おうとした瞬間目にも止まらぬ早さで御神楽はその『何か』に手を被せた。
「……見ました?」
「え……いや、あんまり」
「そうですか……では今度こそ帰ります」
「う、うん」
今のは……キーホルダーだ。
ただ……俺の一瞬の記憶がもし正しければ、それは……。
『
※※※
早足で帰路に着く。
バレてない、バレてない……よね。
うん……きっと大丈夫、一瞬だった。
気づけば既に家の前まで着いていた。
ドアを開け一瞬で階段を駆け上がり部屋に着くと、バッグを投げ捨てベッドに飛び込んだ。
「しくったなぁ……何してんだろ、私」
仮に見られたとして、雨森君はバラすだろうか。
なんか授業中も気持ち悪かったしなぁ……。
「はぁ……」
あの人に影響されすぎてるかな。
やっぱ『アイドル同好会』なんて入るんじゃなかったかなぁ。
「あーやめやめ!」
……これ以上マイナスな事考えるのはやめよう。
そう思い楽しみな事を考える。
今楽しみな事、それはもちろん『アレ』だ。
スマホを開きメッセージを確認する。
「……週末、楽しみだな」
そう思い、私『
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