第6話 〝超〟っていいことだけじゃないです!

 オレの呟きに全員が息を飲んでから「うわあああ!」と喜んだ。

「じゃあ、仮定として『SIZ』は何ができんの!?」

 晴品がさはらに聞く。

「……」

「さはら?」

「ぜ、全部は分からないっ」


 さはらは、ぐうっと拳を作りながら膝をついて地面を叩いた。

 それに何故かナナも地面を叩く

「STRは一番分かりやすいから試しても分かりやすいけど、こんな私がAPPなんだよ! なんの能力か分からない!」


 さはらが、

「ナナさん、美人さんだから納得ですよ!」

 と、変なフォローを入れたせいで、さらにナナは落ち込んでいく。

 意外に面白美人なんだな、思いつつ、他のみんなは顔を合わせた。


「マツリさんのは分かりやすいです」

「は、走るの?」

「バーッと行ってバーッと帰ってくればいいんじゃない?」


 一葉が森を指しながら提案するとマツリは何か考えてから、

「よし!」と綺麗な足の準備運動をするとクラウチングのポーズをして、ドンッと地を蹴ってあっという間に見えなくなった。

 そして、すぐに戻ってきた。


「ごめんごめんごめんごめん!」と謝りながら。

 その後ろにはゲームでみるスライムの塊が追いかけてきていた。

「踏んじゃった踏んじゃったの!」


 スライムに痛覚あるのかと怪しんだが、現状、追いかけられているので、みんな、安堂を見る。

「よーし! 出番だ!」

 剣を構えつつ、横薙ぎにゆっくり、本当にゆっくり動きながらスライムを切った。切ったというかスライムが当たってくれた。

 二つにされたスライムは、とろりと溶けて地面に吸い込まれていく。


 その前に、

「おっっっっそ!!!」

 一葉が全身で突っ込んだ。

「ちなみに妖怪スライム。切ったら死亡って出てたよ」

 また明日の報告をするレンに、

「ここでかよ!!」

 一葉が突っ込んだ。

「どういうこと!? 降方ァ!」

「ひい! なんで、ぼくに聞くのお! さはらさんでしょ!」

 降方を指を指していた一葉は、ぐぬぬと顔してさはらに指を向けた。

「指差しちゃダメだよ、一葉ちゃん!」

 と、ナナが言って、さらに

「そこじゃない!」


 一葉がゼイゼイと息を切らしながら「誰か、説明、して」と言い残して膝をつく。

「あの」

 さはらが、これもまた、と口にする。

「もしかして、超特化の動きはできるけど、それ以外の動きが得意じゃないのかな」


 オレを含めて納得ーという顔をして、どよんと空気が重くなった。

「つまり、俺は鑑定ができるけど、それ以外が不得意ってこと?」

 レンが地獄だと言わんばかりの顔をする。


「これはあとで検証しないと、今後スライムみたいなザ・異世界の魔物が出たら、どう戦えばいいか分からないですね」

 ふむふむと納得していたさはらが言う。


 確かにスライムがいるならゴブリンがいて、ゴブリンがいるならオークやオオカミ系がいる。ここは異世界だとスライムは思い出させてくれた。


「でも、もう夕方だぞ」

 安堂が言い、周りも自分の状況が分かってきたおかげで「どうしよう」という空気が流れ始める。


「よし! みんな体力系以外の人は何ができるか試してみようよ! 鈴貴くん以外!」

 結構、ナナって辛辣だよな。


「APPの私ができることー! できることー!」とレン以外のみんなが、てかオレ以外が周りをぐるぐる見ながら試している。

「えっと、ステータス以外だから幸運、SAN値です!」

 よく分からないステータス組が唱えながら、くるくる回る。回って、


「見えた!」

 ナナがぴょんっと跳ねる。

「あっち! あっちに光の柱が立ってる!」

 オレから見て、その指す方には何もない。

「なんにもねえぞ」

 晴品が代表みたいに言うと、うんうんと皆が頷く。

「じゃあ、そこだな」

 オレは立ち上がって、

「行こうぜ」と言った。

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