第5話 答え合わせと超特化型1つ目

 ウツゴの実を食べたオレたちは、全員がレンを見て、レンしか使えないのだと確信を得、降方が、


「レンくん、ステータス出してみて! スキル欄? なるものがあったはず!」

「うん、アプリケーション」

 相変わらずの極振りステータスだが、スキル欄には何も書かれていない。

「あれ?」


 レンのステータスを中心に見るが、どこにもそんなスキルの名前はない。

「さっきのクリスタルになんかもらったかもと思ったんだけどなあ」

 なるほど、降方の自信はそこにあったらしい。だとしてもスキル欄に、そんな名前はなかった。


「そういえば降方さぁ、この私たちのステータスで、めっちゃ枠からはみ出てるこれって意味なんなの?」

 やっとのこと、みんなが謎に気づき、何だろうと降方を見る。

 降方は焦ったように「確かにみたことあるけど」と言葉を濁す。


「わたし、分かります」

 まさかのセリフはさはらだ。

「わたし、学校でTRPG部に入ってたんです。これヌコヌコ動画で見たことありますし、そうですよね、降方くん、鈴貴くん」


 オレに振られてもアレなんだが、一応知識はあるので「そうだな」と返しておく。

 降方は何か恥ずかしそうで、こういうオタクって言われるのがいやなのかと思う。


 とりあえず大発見ってみたいな顔をして喜んださはらは、

「これ、三文字ですが、まず安堂くんの『STR』ストレングスは筋力武器とか攻撃に必要な値です。降方くんは多分分かっていると思うんですけど『CON』コンスティテューション体力です。盾が出てきたってことは、防御? なのかな?」


 ちらりと、さはらは降方を見ると、降方は明らかにビクリとした。

 そうだ装備が盾ってことは前に出ないといけない。なるほどね、とオレは降方の怯え方に気づく。


「『SIZ』サイズ、これは身長とかに関係するんですけど」

 さはらは晴品を見たが、晴品はこの中で女子を抜いて二番目くらいかオレとあんまり差はないと思う。とりあえず安堂よりは下に見えるから、身長云々に関係なさそうで、その晴品も疑問符を浮かべていた。


「マツリちゃんの『DEX』はデスクステリティ、敏捷性とか早さっていう意味です」

 そのマツリの顔は、ひくりとしながら「走るってこと?」と気を落としていた。そんなに気を落とすことはないと思うが、そんなに運動が嫌いなのだろうか。


「ナナちゃんのは『APP』外見です。アピアランスです。ゲームだったら人や物の美しさを表します。ナナちゃんは美人さんですから」

 言われた瞬間、ナナがにしょぼしょぼな顔をする。

「私みたいなものが申し訳ない」

「急にどうした!?」

 突然の急降下に全員がツッコんでナナは自分のアプリを見てうなだれていた。


「続いて行きますね! わたしが『INT』インテリジェンス、聞いたことがあるかもしれません。知性を司る項目です。でも、何ができるか分かりません」

 今現在、レン以外に何かをした訳じゃない。


 オレは「とりあえず、全部、教えてくれ」とさはらに頼む。

「『POW』一葉ちゃんのです。パワー、精神力です。パワーて言うから体力的なのを想像しちゃいますがゲームの中では精神力になります」


「あちゃー、レンみたいにわかりやすければよかったのに」

 一葉は、むぅとしながら自分のステータスを見てる。

「最後に『EDU』エデュケーション。教育、教養とかです。レンくんのです。効果は鑑定なんですけど、他のステータスで『知識』という項目があるので、合体しちゃったのかなって、わたしは思います」

 さはらは言い終えて、ふうとため息をついた。大役ご苦労さんとオレは思っておく。

「てーことは?」

「剣がでたから〜」

 安堂がキラキラした目で、自分の剣を見る。

「つまり、強いってことだよな!」

「でも突出してるから、どれだけ強いか分からないよ」

 ナナが不安そうに言い、あ、だったらと一葉が近くにあった手のひら大の石を持ってきて、

「拳で割ってみたら?」と言った。

 安堂は嬉しそうに、

「よし! 本気でいくからな!」

 離れてろよ、セイッという掛け声と共にドォッン! という音がして大きなクレーターができた。

「……」

 みなの足元まで揺らし、全員がクレーターの中にいる。

 そして何も言えずにポカンとして、

「う、うおおおお、なにこれェ!!!」

 一番驚いたのは安堂だ。ついでに川も驚いただろう、川から水が流れてきてクレーターに水が溜まっていく。

 ちなみに拳で壊すと言った石は粉々に砕けていた。

「これが、極振り……超特化型か」

 オレは靴が濡れないうちに移動して遠い目をしておいた。

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