第3話 装備が手に入ったぞ、知らない奴からだけど!

 待て待て待て、全員で元王都を見ながら声が出ない。

 一応、召喚された場所だし、あ、でも王都がぶっ壊れたみたいなラノベ見たことがある気がする。あとドラゴンに襲われたとか。

 とりあえず、冷静になろう。

 みんな、あんぐりとしているので再度、みなのことをおさらいしようではないか。


 とりあえず、オレ、佐藤鈴貴さとうすずき。一番後ろの窓際主人公席所属。

 マッシュ頭でゲーム知識がある降方祐ふりかたたすく

 ウェーブの髪が決まっている二枚目の晴品割波はれしなわっぱ

 いかにもスポーツマンぽい彼が安堂八記あんどうやっき

 すっきりとした髪型でしかも銀髪な見白久蓮みしろくれん


 男子終了。


 腰までの黒髪が輝く優しい少女の七笹七ななささなな

 肩より長い髪インナカラーが赤でギャル。降方と同じクラスの大城一葉たいじょうひとは

 髪をショートにして日焼けあとが眩しい活発系少女の真来祭まらいまつり

 ちょっとおどおどしている肩口ぐらいのボブの子が金柔かなやわさはら。


 女子終了。


「な、なななんで爆発したのよ!?」

 一葉が頭を抱えながら叫ぶ、その声にみんな正気を戻したのか、わたわたとオレたちは「なんだこれ」となっていた。

「というか爆発ですか!?」

 降方が一葉と同じポーズで慌てているのが面白い。


「ハッ、これ知ってます。爆発オチサイテー! てやつですよね」

 ナナはどっから知識を吸収してんだとそして古いが誰も突っ込まない。


 オレはぼんやりと爆発して黒く炭化してしまったモノを見ていた。

 知っている限り、オレらが出て行くまでは人間がいて、普通に老若男女といたはずだ。普通に暮らしていたのである。


 じっと見ていると、王城があった場所に何かが浮かんでいた。

 ゲームであるクリスタルと言っていい。上下円錐形の濃い紫色のそれはフワフワと浮かんでおり、これが爆破の原因かと見ていたら、

「鈴貴くんも見える?」

 レンも同じものを見ているらしく、オレに声をかけてきた。

 そのうち、なんだあれ、とみんなが思っていると、

 ブ、ブンという音がして消えた。消えて目の前にある。


「ひっ」

 さはらが声を絞り出したように小さく叫んでくれたがオレたちは、あまりの出来事に目を見開くだけで、身体は固まっていた。

 クリスタルとするが、このクリスタルがオレたちの周りを回りながら、なにか物色? をしているようで女子はお互いに身を寄せ合い、オレ含む男子は、どこからそんな根性がでてきたのか、女子を守りつつ、次に起こるだろう衝撃を待っていた。


 ぽとん

 ぽとんぽとんぽとん


「はえ?」

 マツリが草の上に何かを落とす音を聞いて目を開ける。

 オレも開けていたが、あったのは九個のナップザック。

 それをクリスタルは出し終えると小さくなって地面に転がった。


「なんだこれ」

 安堂が手を出しかけて、晴品が「あぶないだろっ」と声をかけるが怖いもの知らずなのか、安堂は適度に膨らんだナップザックを手に、紐を解いて中身を見る。

「おお! これすごいぞ!」

 安堂は、みなに顔を向けつつ袋の中から剣を取りだした。

「すご、すご、え?」


 降方が同意をしようとしたところで固まり、なんだこれという顔になる。

「とりあえず、みんな、中身見ろよ!」

 安堂が取り出したのは白い柄のがついた大きめの両手剣だ。


「剣!?」と喜んだような声を出したのはレンだ。

 気さくなイメージが残念になりそうだったが、他のみんなもおずおずとナップザックを手繰り寄せて開くと、


「杖?」と一葉。

「わたしも杖です」とさはら。

「ぼく、盾なんだけど!?」と降方が言った。


 ならばオレは、と中身を見たら水と干し肉だけだった。

 ステータス0には慈悲がない。

 オレの装備を気にしていたのか降方が近づいてきて「あー」と声にだした。


「なんで鈴貴くんだけ、ステータスないんだろうね」

 オレも聞きたい。

「私も何もないよ。お肉とお水だけ」とナナがいい「僕も」と晴品が、レンも首を振って何もないと言う。


「あれ、マツリちゃんは?」

 ナナが言うとマツリはミサンガを手にして「どうしようこれ」と言った。

 それもオレが聞きたい。

 とりあえず荷物確認はすんだが、何も分からないだけが半分以上残ってしまった。

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