第2話 紹介しあってたら王都が爆発したんですけど
こういう時、何もないオレらに「せめての慈悲だ、これを持って出ていけ」というのがセオリーじゃないの。
「早く行け!」
門衛に言われて、オレたちはトコトコと歩いたところで、
「今の状況、考えっぺ」
この九人の中で、一番背の高い髪を短く刈り上げ男子が額を抑えながら唸る。
スポーツマンぽい彼が言うと、
「僕もそう思うよ」
あの銀髪この世にいるのか男子が声をかけた。
「ねえ、
城内でも叫んでいた、ちょっとギャルっぽい彼女が、眼鏡をかけてマッシュ頭の『降方』くんに声をかける。
「えっ、えっ、でも」
もじもじしている彼を見て、ちょっと呆れた感じに首を傾け、
「貴様ら! さっさとどこかいけ!」
という門衛の声が聞こえて、
「ひっ!」
黒髪肩口ボブの女子が身体を震わせて、みなの顔をくるくると見、
「と、とりあえず、門が見えないところまで移動しませんか」
みなで「うん」と口にして、道になっているところを歩いていくと、オレは、はたと思いついた。
「あんさ、オレ、思うんだけど、ここって街道? じゃん。オレら制服じゃん。悪目立ちするだろ? 確かラノベで、そんな格好してたら攫われて一大事! ての見たことあんだけど」
オレを見ながら、みんなは自分の制服を見てサーッと顔を青くする。
「確か、そんなラノベがあった気がすんだよなあ」
「アンタも詳しいの」
確か『
「詳しいってほどじゃないけど。読んだことがあっただけ」
オレは髪をぽりぽり掻きながら見て、全員が頷くと適当な草陰に隠れて、門衛から見えないように座った。
「オレから提案したからオレから。
「ゼロォ!?」
降方が大きな声を出したので全員で「しーっ」と口を作る。
「ゼロってそんな凄いのか?」
刈り上げてウェーブがかかった髪な男子が「分からない」という風に喋って、多分一番知識があると判断したのか、降方に顔を向ける。
「だ、だって、みんな、ステータス画面を見てくださいよ」
「……」
「……」
ちょっと沈黙が流れた。誰も出し方が分からないのだ。
「降方ぁ」
大城さんが降方を見て泣きそうだったので、知識があるオレと降方くんで、今まで見たことのあるステータスオープン的なことをしてみたが出てこない。
「あの賢者さん? が何かした時は出たよね」
ショートヘアで少し肌が焼けている活発系少女が先の記憶を思い出そうとするが、あの賢者は何かしただろうか、オレも覚えがない。
「んー」
と、みんなで考えながら、
「ステータス、ステータスバー、僕たちの現状、アップデート、プログラム」
云々と口にして、空中を叩いたり、スワイプしたり、オレと降方は何度、試しても何かが出てくる気配がない。
「あ、あの、ステータスって社会的な地位のステータスですよね?」
腰まで伸ばした黒髪が綺麗な女子がオレたちに聞いて来た。
「う、うん? ステータスってそういう意味なのか?」
「ゲームとかのやりすぎで分からない……」
オレと降方は顔を合わせて女子を見た。
「あ、私、
ナナは笑うと、
「プログラムなら、それを更新する時にアップデートが必要って、きゃっ」
ぶおんっと多分『アプリケーション』と呼ばれて出てきたステータス画面に一同、ビクッとしながら、ナナのステータス画面を見る。
「よし、アプリケーション」
続いて刈り上げウェーブ男子が同じように言うとステータス画面が出てきた。
各々それを見て「アプリケーション」と唱えて、己のステータス画面を見る。
オレのは相も変わらず『0』だ。
「佐藤君、ホントに0だ」
降方がオレのを覗き込みながら、はーと感嘆に似た声を出す。
そんな降方のステータスは、CONが100以上の完全超特化仕様だ。
「オレのことは鈴貴でいい」
「あ、わかった」
みなみなが確認したところで銀髪が手を上げる。
「丁度いいから、自己紹介しよう。俺から話すよ。
その次にスポーツマンぽい彼が手を上げた。
「おれは
次はウェーブ男子が手を上げる。
「じゃあ、僕も。
自然とマッシュ頭の降方に目が行く。
「あ、あ、あ。えっと
「じゃあ、男子が終わったから女子ね。私は
肌の焼けた活発少女に視線が集まる。
「ん? ワタシ? えーとDEXてのが一番高い!
黒髪肩口ボブの女子が最後だ。
「大きいのはINTというやつで……
よし、と皆が落ち着いた表情で安堵する。
ぱんっとナナが手を叩いて、
「みんな、同じ歳だ! よろしく――」
ね、と言うところで、
ドンッ、と地面が揺れ、何かを吸いこむヒュゥウと言う音がするとバンッと何かが鳴り、気づいたら追い出された王都の塀がなく、中心部から真っ黒な炎が立ち上っていた。
「へ?」
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