第四部②決戦の準備
第42話『モルデール決戦、相克の父子』
レオに向かって一直線にサンチョに担がれて、殺され捨てられたホブゴブリンの子供をの元に、景男が下ろされた。
ウェー!
景男は、サンチョに担がれて軽い船酔いみたいにレオの前で
レオはヴァルガーデンの
レオは、
カチンッ!
それには、サンチョが手錠を引っ張って、
レオは無防備だ。
ウウェエ!
景男は、また吐いた。
レオは、
サンチョが、呆れたように、「あんでま~、敵の
と、言って力任せに手錠を引きちぎった。
「ポジラー様、敵の殿さまは、無防備だ。ポジラー様も無防備で同じ条件で戦うだ」
景男は、
レオは、どこまでも
レオは、サンチョを見て、「おい、大男。お前は、こいつとオレ様が一体一で勝負することを見守るのだな」とおっとりサンチョを言葉で
サンチョは、素直でいいやつだ。
「うんだ。オラ、おめぇーとポジラー様が素手で殴り合うのを最後まで見守るだ」
「よし!」
レオは、サンチョの
馬乗りになられた景男は、体を
「あちゃー!」
サンチョは、景男の勝ち目がないと見たのか、手で顔を隠した。
「それじゃ、お前もさっきのゴブリンみたいに
レオが、石を掴んだ拳を振り上げた。
「卑怯な真似は、よせ!」
と、レオが振り上げた石の拳を背後から近づいたシリアスが腕を掴んで止めた。
レオは、力でシリアスの手を振り払おうとするが、日々、
シリアスはレオの手を逆手でひっぱり起して、馬乗りになる景男から引き起こした。
「バシンッ!」
シリアスは、父親が
レオは、生まれて初めて、地面の味を味わった。顔を土で
「シリアスは、知らぬことだが、あの光景は父が間違いを犯した子に教育しているところだ。マリーナ、ここは
シリアスは、
「レオ、お前は、本来ならば、すでに死んでいる。兄が、お前にヴァルガーデンの皇太子としての
シリアスは、レオの
レオは、口元を切り血を吐きながら弾け飛んだ。
「ああ、待ってくれ、兄上。我らは、同じストロンガーの兄弟ではないか、兄弟が争ってどうするのです」
と、この場に至ってシリアスの同情心に訴えかける。
シリアスは、問答無用にレオの顔を蹴り、腹を踏みつける。
レオは、うめき声を挙げてもだえ苦しむ。
「私も、ゴブリンに対して同じ過ちをした。それが痛み苦しみと言うものだ。下々の者は、日々、その苦しみに打ちひしがれて生きている大国ヴァルガーデンの王たる者はその痛み苦しみを誰より分からねばならぬ」
レオは、
シリアスは、レオのその言葉と姿を見て、憐れむように、
助け起こされた景男は、すぐさま、レオに殺されたホブゴブリンの子供の死体を抱き上げて、「すぐにアリステロさんの魔法で生き返らせてもらわなきゃ!」とハルデン屋敷に走って行った。
アランとヴァルダーの一騎打ちはヴァルダーが勝利し、『
狂暴化し町を破壊し、敵味方なしに人間に攻撃をするホブゴブリンは、景男の姿を見て、目の色が赤から、落ち着いた黒に変わっていった。
ドスンッ!
シリアスの背中にレオがぶつかった。
シリアスは驚いたような顔で振り返った。そこには、血の付いた短刀をもって引き
「レオ、お前は……」
シリアスは前のめりに倒れた。
「いやー、シリアス様!」
マリーナの悲鳴がモルデールの町に響き渡った。
つづく
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