第41話『戦乱のモルデール、ポジラーの帰還と逆転の始まり』
モルデールの町の
二人の剣は、背中に背負った
師・ヴァルダーは「がはは」と豪快に楽しそうに笑って剣を抜いた。
弟子・アランは、「絶対に負けられない」と言った表情で、真っすぐヴァルダーに剣を構えた。
「参るぞ!」
ヴァルダーの掛け声で二人は刃を交えた。二人の剣は
ガチンッ!
と刃を合わせて
ヴァルダーは、最前線の騎士団長として戦う8歳ほど若いアレンに力で押し込まれる。だが、剣を腹に返してギギギッ! と滑らせて飛び
ガチンッ!
アレンはそれより早く、地面に
「ほほう、腕を上げたなアレン」
「ヴァルダー様も、『
互いに、戦いを楽しむかのように笑っている。
二人を戦わせたレオは、それよりもホグゴブリンの子供に向かって行き、剣を振り下ろした。
ギラり!
モルデールの町に移り住んだホグゴブリンたちの目が赤く光った。あちらでも、こちらでも
町の住人は、シリアスがすでに皆、タンクホルム山へ逃している。町に残っているのは『幻影騎士団』と移り住んだホブゴブリンたちだ。
ボーン! ボーン!
ホブゴブリンの
アイアンウルフ峠から、モルデールに向かって森を進む、景男とアム、『モルデール騎士団』団長のマックスとサンチョ、
レオンとセリーナが聞き慣れない軍太鼓の音に、「この軍太鼓の音は何の合図ですか?」と不安を口にする。
マックスが、「これは、ホブゴブリンが狂暴化した軍太鼓です。先を急がねばモルデールの町は大変なことになります」と目を見張る。
アムは、不安で景男の腕に巻き付き上目使いに顔を見る。景男の腕にはアムの胸が当たる。
景男は「でへへ」と鼻の下を伸ばす。
それを見たサンチョが景男に近づいて、背中のカバンから
「ポジラー様、ヴァルガーデン軍に攻められているモルデールの町に急がねばなんねぇ、それに、今のホグゴブリンの軍太鼓の音はただ事じゃなんねぇ。今は、アム様とイチャついてる場合じゃなんねぇ~べ」
と、景男をアムから引き
アムは、負けじと引っ張り返す。アムもサンチョも一歩も引く力を弱めない。景男は、右に言ったり左に言ったり、風に
景男は、たまらず、「アムちゃん、ちょっと腕を引っ張るのをやめてくれる?」と言った。
アムは、
サンチョが、当然と言ったように、「そりゃ、
「ちょっと、待ってサンチョさんにアムちゃん」
ビリッ! ビリビリッ!
すでに遅かった。アムは感情の高ぶりで景男を丸焼きにした。太っちょサンチョは体の
景男は、
一方、モルデールの町は大混乱だ。『幻影騎士団』と「白鷹騎士団』がぶつかる間に、
ヴァルダーとアランの師弟対決を中心に、『
町の入り口に戻ってきたアムは自分の目を疑った。土と木造の家屋に火がかけられ燃えあがっている。
「私の愛するモルデールが燃えている……」
がっくりと、肩を落とすアム。
景男は
「アムちゃん、オレが付いてる。何とかしよう」
景男は、何とかする
(前回、ホグゴブリンが狂暴化したのは、仲間が殺された時だ。ということは、ヴァルガーデンの誰かが、ホブゴブリンを殺したに違いない!)
そう当て
レオが、ホグゴブリンの子供の死体を踏みつけて、『白鷹騎士団』と『幻影騎士団』、本来、ヴァルガーデンの同志が戦うのを他人事のように楽しんでいる。
景男は、レオに向かって一直線に歩き出そうとした。
ビュイン!
サンチョに繋がった手錠で進めない。
「ポジラー様、あいつがホブゴブリンを怒らせた悪者だな」
「うん、きっとあいつだ」
「ポジラー様、行ってどうするだ?」
「決まってる。
「うんだな。弱い者イジメするようなヤツは絶対に許せないだな」
サンチョは嬉しそうに微笑むと、景男を担いで、一直線にレオの元に向かった。
つづく
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