第37話『炎と電撃 道化師ポジラー』
「ポジラー様、命令どおり集めれるだけの
景男の指示で、モルデール騎士団30人は、アイアンウルフ峠の関所の見張り台に薪を運び込んだ。
騎士団長のマックスは、領主であるアムの命令に従ったが、景男の策略に賛成したわけではない。
景男は、団員の命を預かる団長として気が気でないマックスとくらべて、
レオンを先頭に、ホムラが
レオンが出口に差しかかったその時だ、景男は手を挙げて地雷原に向って手を振り下ろした。
「放て!」
景男の号令で、見張り台から一斉に地雷原へ向かって薪が放たれた。
コツンッ!
プレートアーマーの
ヒュン!
レオンが顔に飛んできた薪を掴んだ。
薪は細い糸ですべて繋がれ、びっしょり濡れている。
レオンの
「濡れた糸……、これは敵の第二の
「今だ! アムちゃんよろしく!」
景男がアムに号令をかける。
アムは、待ってましたと感情を
ビリビリ!
アムの放った電流は、びっしょり濡れた薪をつなげた糸を伝い地雷原へ走った。
次の瞬間、ドカンッ! ドカンッ! と、長蛇の『赤狼騎士団』を包み込むように、あっちでもこっちでも地雷が爆発した。
先に出口についたレオン以外の『赤狼騎士団』は、
鉄のプレートアーマーは、炎で焼かれて肌を焼く。馬が
レオン一人を残して、その背中には
地雷原の向こう側にいるセリーヌが弓を放って
景男が、手を叩いて、「
すると、手錠で
「ポジラー様、ちょっと感じ悪いだべ。それに赤髪を罠にはめたみたいで、オラみんなで
マックスも、サンチョの
「ポジラー様、私もサンチョに同意です。敵は赤髪一人を残して、その部隊は
と、マックスは自分は行く気はないのか他人事のように言って、景男の目をまっすぐ見つめている。
アムも、マックスの言葉に頷いて、「そうね、相手が部隊で来るなら、こちらも部隊で戦う。相手が一人ならこちらも一人で戦うのが”
アムも景男の次の言葉に期待を込めて見つめている。
「えっ、えっ、もしかして、オレに一騎打ちする期待している?」
アムもマックスも黙って頷く。
景男は、「そういえば!」とサンチョと繋がった手錠で繋がれた手を持ち上げる。
「オレは、これだからサンチョさんも含めると2人だから、2対1で卑怯な戦いになるから、無しだね」
と、安心しつつも、残念な顔をする。
すると、マックスがサンチョを見て、「サンチョ、もう、いいぞ!」と何やら命令する。
サンチョは素直に頷いて、景男にかかる手錠と自分の手錠を掴んで、
「あっ!」
景男は、間の抜けた声をあげた。
サンチョは、当然と言った表情で、「まったく、
「サンチョさん、いつでもそうやって手錠外せたの?」
サンチョは、大きく頷いて、「うんだ。オラは
景男は、
バタンッ!
アムとマックスが、見張り台と
「ポジラー様、どこにも逃がさないわ」
と、アムが今にも景男に電流を放ちそうな
景男は、ソソソと後ろに巻き戻ると、デ~ン! とサンチョの腹に突き当たる。
「ポジラー様、みんなあんたに期待しているだ。ここはみんなの期待に
サンチョは、そう言うと景男をいきなり担ぎ上げ、見張り台から、
クルクル、パシッ!
景男は、二回転半の空中大回転をして、レオンの前に
「お前だな、オレの団員を炎の海に落としたのは」
景男は、レオンと目を合わさず首を
「私は、モルデールに暮らすただの
と、言ってソソソとその場を去ろうとする。
しかし、ここは人が
さらに、見張り台のアムが、「ポジラー様、見事な計略のように、今度は、
レオンは、景男を真っすぐ見て、「やはり、お前だな」と剣を
「あわわわ~」
武器すら持たされずに放り出された景男は、たじろいで尻もちをついた。
レオンは、景男が武器すら持っていないことに気がついて、「
つづく
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