第三部③ポジラーの策略
第36話『策士ポジラーの大逆転計画』
アイアンウルフ峠のおよそ300mに及ぶ地雷原を、赤髪レオン・レッドウルフの
関所に
ヒュン!
サンチョと
地雷原の向こうで
西洋弓は、およそ300mに届く、弓術の使い手のセリーヌは
ぼんやりと関所に
アムとマックスが景男を見た。サンチョは
そう何度も、都合よく閃く訳がない。しかし、アムは感情に任せてコメディアンがペタンと貼る電気マッサージ器の”強”のメモリの数倍。
景男は、異世界に来てから、アムの電流を2回、サンチョの拳骨を3回食らっている。いくら現実世界で推しのアイドル涼宮未来にそっくりのアムの
ユン・リーウェンは『ウィザードリィ・ユン』の異名をもつ。アニメの中では、有利な戦局にある敵を、その奇抜で独創的なアイデアで必ずひっくり返す。
景男は、110話からなるOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)を全28巻をすべて見ている。
(似たような場面……、似たような場面……)
景男は、記憶をたどったが、アニメを楽しみ以外でみたことはない。まさか、人生において自分が『ウィザードリィ・ユン』の立場になるとはこれっぽちも考えたことはない。
景男は、
風は、関所からレオンたちのいる風下に向って
(そうだ、ユン・リーウェンのセリフを少し真似てみよう)
「いいかい、アムちゃん、
と、景男は、ユン・リーウェンの声真似をして言ってみた。
ガツンッ!
「ポジラー様、
「森がある……? ハッ!」
景男は閃いた。
「サンチョさん、この関所に
サンチョは、当たり前のことを聞くなと言った表情で、「そりゃ、薪ぐらいいくらでもあるべさ。それが、どうかしただか?」
景男は、ホームランでも打ったかのように、サンチョの拳にグータッチした。
「オレ、ホントに閃いちゃったよ。マックスさん、『モルデール騎士団』みんなに薪を担げるだけ担いで、見張り台へ持って上がるよう
マックスは、景男の提案に合点がいかず「ポジラー様、敵が迫り来る中、そのようなことをしてどうされるのですか? 早急に赤髪に
景男は、悪びれもなく素直に答えた。
「そうだよ、敵にみんなで投げつけるの!」
マックスが眉をしかめた。
サンチョがゴリッと拳を鳴らす。
アムが、何か思うところがあって、景男に尋ねた。
「ポジラー様、もしかして、それは
景男は、門の近くに落ちていた
「ここから『ウィザードリィ・ポジラー』の大逆転劇が始まるよ。アムちゃん耳を貸して……」
と、景男は、コソコソとアムに何やら作戦を耳打ちした。
景男の作戦を聞いたアムは目を見開いて、手を叩いた。
「それだと、敵は
マックスは、納得いかずアムに食い下がる。
「アム様、ポジラー様の作戦が失敗したらどうされるのですか、地雷原を
アムは、確信を持って言い切った。
「いいえ、マックス。この作戦は必ず成功します。敵はすでにポジラー様の術中にあるのですから」
つづく
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