第12話『サンチョの伝説の任務』
アムの
騎士団屋敷は、ちょうど小学校の
「マックス、騎士団長のお戻りだ!」
マックスが部屋に入ると、団員の一人が声を上げた。
そのずっと後ろで、大きめのレザーアーマーに収まりきらない、でっぷりと
「えいやーーー! とう! とう! とう!」
かけ声はいい。だが、その
「サンチョ! こっちへ来い‼」
マックスは、汗だくのサンチョを呼びつけた。
呼ばれたサンチョは、まるで騎士団長の呼びつけが、
「なんだ、
「コラ、サンチョ! 皆の前では、兄ちゃんではなく、騎士団長と呼べと命じているだろう!」と
しかし、サンチョは、マックスの
「そうだ、兄ちゃん、おっ母が、今日の夕食は大好物のクリームシチューを作ってまってるっていってたど」
これには、たまらず、騎士団に笑いが起きた。
「こら、サンチョ! そんな話は控えろ‼」
それぐらいではサンチョにはこたえない。
「だって、兄ちゃん、クリームシチュー大好きでねぇーか。だって、オイラがお代わり3杯食べてる間に、5杯食らうでねぇーか」
マックスは、たまりかねて、サンチョの頭に
ゴーン!
痛ぅ――!
拳骨を食らわせたマックスの方が、手を振って痛がっている。
「サンチョ、この石頭!」
マックスがまた叱ると、サンチョは
また、笑いが起こった。
マックスは、何か閃いて、「決めた!」という顔をした。
「よし、サンチョ、お前にアム様、
サンチョは、
「や~んだ、オラは、剣術の稽古さして、早いこと兄さを超える軍団長になるんだ」
と
その場の全員が笑った。これには怒るはずのマックスも笑った。
すると、サンチョは、マックスを睨みつけて言った。
「どうしてみんなして、人が真剣に稽古さするを笑うだ。みんなして人でなしだべ」
すると、マックスが、サンチョをなだめるように優しく語りかける。
「すまん、サンチョ、誰もお前をバカにしたわけではない。皆、お前が真剣に稽古するのを応援しているのだ」
サンチョは、兄の言葉を少し疑るように、顔をずらして、「本当だか?」と軍団員を見回す。
「サンチョ、みんなお前の成長を応援してるぞ」
「サンチョ、お前がマックス様を超える軍団長になる日を信じてる」
「いつか、お前の石頭が役に立つ日が来る!」
すると、サンチョは
と、力強く胸を叩いて引き受けた。
つづく
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