第4話『マンホールの向こうに未来が待っていた』
38歳のポジラーこと
「追手内さん、まことに申しわけないですが、不景気ですし、ご希望の正社員は
「やっぱり、高卒では、難しいですか?」景男は不安そうに
「いや、そんなことはないのですが……」
相談員はため息をつきながら「今の景気では、高卒でも難しい状況です。ただ、職業訓練や派遣など、他の選択肢も考えて見ればいかがでしょうか」
景男は肩を落とし、「そうですか。でも、なんとか自立したいです……」と力なく言った。
母の勧めで大学受験を考え、予備校に通ったが、どの試験も不合格となり、彼は勉強が苦手で自己評価が低く、
そんな、無敵の人になりつつある景男だが、最近、恋をした。相手は、学生生活の間、成人してから出会ったどんな女性よりかわいい。それも、そのはずアイドルだ。
『Tropical(トロピカル) Breeze(ブレーズ)』というアイドルグループの涼宮未来というアイドルだ。始めは人気がなかった『Tropical Breeze』がメンバーが共に支え、励まし、成長し、誠実にファンと向き合うことで人気に火がついた。
景男は、ニートだからお金は、上場企業の部長を務める
未来は景男の手を両手で包み込むと「景男さん、いつもありがとう。また来てね♡」と言われる度に、
今では、部屋中が未来の写真と『Tropical Breeze』グッズであふれている子供部屋オジサンだ。
未来の姿を見るたびに、自分の無力さと彼女への
最近では、小遣いだけでは足りず、未来と同じ年齢の妹から借金をして参戦している
そこで、景男は生きがいの未来のライブに行くために、「妹にはもう頼れない。就職して自分で金を稼ぐしかない!」と
このマンホールは日本最古のマンホール京都清水寺と同じ江戸時代に作られたものだ。子供の頃は、あのマンホールは芥川龍之介の『
だが、景男の暮らす町はいい具合の田舎なので工事の関係者が
景男は落ちた拍子に、未来の写真が待ち受けになっているスマホを放り投げ、「ちょっと待ったー!」と落っこちた。
つづく
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