第4話 父の休暇

 「ただいまー。」

 「おかえりあなた!」


 おっと、父が帰ってきたようだ。

 俺は少し喜んだ。


 父なら俺を外へと連れて行ってくれるかも知れない。と思ったからだ。


 「おおロイド、母さんに聞いたぞ。お前、外に出たんだってな。駄目だぞ、そんな危ないことをしちゃ。」


 この感じ、多分父も外に連れて行ってくれないだろう。


 はぁ、本当に何をしよう…


「そうだミレア、この休暇にどこかへ行かないか?」

 「良いわねそれ!」


 あ、これまで言ってなかったが、父はロイス、母はミレアという名である。


 というか今、休暇といったか。

 一体どこに連れて行ってくれるのだろうか。

楽しみだ。


 「そうと決まったら明日ね!」

 「まったくミレアは気がはやいなぁ〜。」


 明日が楽しみになってきた。


 とは言っても、今日はまだ暇なままか。

 赤ん坊の気持ちも考えてほしいところだ。


 『ぅ、ぅりゃあ。』

 お、今「り」を話せたぞ。

 これ、練習したら話せるのではないだろうか。


 それから俺は、二時間ほど、言葉を練習した。

 ではその練習の成果を今から発揮しようと思う。


 いざ、実践っ!!

 『み、みりゅぐ、みりゅくほしい。』

 きたーーーーー!


 これはデカい!言葉を話せるだけでこれまでやりたかったことがたくさん出来るようになる!


 「あらロイドちゃん!もう話せるようになったの!?」


 母は驚きの顔をしている。

 「凄い!!はいはいミルクね!今すぐ持ってくるわ!」


 伝わった……


 「はいミルクよ!」

 ごくっごくっ。


 よし、これで俺の言葉が通用することは証明された。

 次はこの力をどこに使うかだ。


 そうだ、父に外に出たいと行ってみよう、もしかしたら許してくれるかもしれない。


 俺は父の足元まで移動する。

 『そと、いぎたい。』


 「今、何か聞こえたような…気のせいか。」

 『そといぎたい!』


 「ん?まさか、ロイドが喋っているのか?」


 俺は頭を縦に振る。

 「ロイド、本当に喋っているのか…」


 俺はまた頭を縦に振る。


 「そうか、外か、うーん。

 少し考えさせてくれ。」


 思ったよりも父は喋っていることに驚かなかった。何故だろう、俺は少しその事に疑問を抱いた。


 その事は置いといて、果たして考えた後に外出を許してくれるかが肝心だ。


 「わかったロイド、外に出ても良いぞ。ただし、父さんと一緒ならな!」


 父さんと一緒、か。なら魔法を打つのはやめておいた方が良さそうだ。何故なら魔法を打ってしまうと父に当たるかもしれないし、第一、この歳で魔法を打つことが知られたらヤバそうだからだ。


 そうして俺と父は外に出る。


 「外に来たが、ロイド、一体何をするんだ?」


 俺は失敗を犯した。魔法を打つために外に来たのに父が一緒だと打たないからだ。


 しょうがない、ここは赤ん坊らしく演じておくとしよう。


 『だっこして!』

 「わかった!良いぞ!」


 俺は父に抱き抱えられながら周りの景色を見た。


 「次の休暇、あの町に行こうと思ってるんだ。」

 

 俺が前見た町だ。


 「あの町にはいろんなものがあってな。

温泉や美味しい食べ物だってあるんだ。」


 俺は赤ん坊らしく楽しそうにはしゃぐ。


 「なあロイド、お前、魔法打てるだろ。」

 

 !?

 何故気づかれているんだ?


 「ロイド、聞くんだ。この世界では想像で魔法が打てる。もちろんロイドみたいな赤ん坊でもだ。」 


 俺は驚いた。つまり俺は特別でも何でもなかったのだ。

 「父さんもお前くらいと歳の時、初めて魔法を打った。その時に言葉も喋れるようになった。」


 「と、父さんの昔語りはもう良いとして、もう夕暮れ時だ。家に入ろう。」


 そうして俺は家に入った。


 明日はあの町へ行くのか、楽しみだ。

 そう思うと早く寝たいと思った。


 だけど毎回毎回床で寝るのは正直居心地が悪い。またあのゆりかごで寝たい。


 どうやって移動しようか、ゆりかごから出るのは簡単でも、ゆりかごに乗るのは簡単じゃない。


 ......そうだ。


 (ワープ!)


 シュンっ!

 あれ?食卓に移動してしまった。


 (ワープ!)

 次は椅子の上。


 次は...



 ーーー26回目ーーー

 (ワープ。)

 シュンっ!


 やったぁー!やっとゆりかごに来れた!

 というか、想像で魔法を作れるから、どんな種類の魔法でも打てるんだな。


 その後俺は、ワープのしすぎで疲れてしまい、自動的に寝てしまった。


       ーーー続くーーー

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