第3話 想像魔法
家に居ても暇、外に行ったらゴブリン。
さて、これからどうしたものか。
とりあえず、外に出たらゴブリンがいると考えたら、外という選択肢は潰される。
じゃあ室内で何かするしかない。
室内で何をしよう。
スンスンっ、スンスンっ。
さっきから少し良い匂いがする。
多分母が料理をしているのだろう。
俺はこの世界に来てから、料理を食べたことがない。
まだ赤ん坊で、歯も生え揃っていないからだ。ミルクも十分美味しいんだが、俺の中の本能が肉を食べたいと叫んでいるのだ。
人間の成長を考えると、あと数ヶ月は料理を口にすることはできないだろうな。
俺は興味本位で料理中の母に近づく。
母ということもあって、料理を作るのが上手い。慣れた手つきで野菜や肉を調理する。
お、そろそろ具材を火にかける頃だ。
「ブオォぉ」
火がついた。……………………………
俺は今、驚きの事実を見た。
母が手から炎を出していたのだ。
驚くのと同時に俺は今、とても嬉しかった。
この世界に魔法があると知れた今、ある一つの事実が知れたからだ。
それは…さっきなった雷は、俺が打った「サンダーボルト」だったのだから。
つまりあの時、俺は人生で初めて魔法を打ったのである。
平原、村、魔法、ますます異世界らしくなってきたじゃねえか。
どんどん面白さが増してきた。
俺はふと考えた。
魔法が打てるということはさっきのゴブリンくらいなら倒せるのではないかと。
そうと決まったら早速外に出てみよう。
俺はまたドアの隙間を通り抜ける。
「グウォァァァァァァ!!!!」
こいつと会うのはさっきぶりだ。
(喰らえっ!サンダーボルト!)
「グウォッ?」
ゴローーーーーーーーン!!!!!
俺の前に一瞬、太い稲妻が走った。
(どうだ?)
稲妻が消えた後、そこにはゴブリンの焼けた死体があった。
LV up! ↑2
っ!?バタっ!
音に驚いて転んでしまった。
えっと、レベル、アップ。
この表記の感じ、レベルが2になったということか。
レベルが上がったということは、何かが強くなったということだろう。
だが、正直実感が沸かない。
力がみなぎるなんてこともないし…
うん、さっぱりわからない。
まあ時間はあることだし、後々考えていくことにしよう。
というか俺、さっき普通に魔法打ってたけど、杖とかなしでも打てるのか。
魔法が打てることはこれで知れたし、次は種類を試してみよう。
じゃあ、(ファイア!)
ブオォォ!
凄え、火も打てる。
ブオォォ
ん?何でまだ音がするんだ?
って!燃えてる燃えてる!草が燃えちゃってるよこれ!
(水!水!水ぅぅ!)
ブシャァァァァァ!
シュゥー。
ふぅ、危なかった。火の魔法は打たない方が良さそうだな。
じゃあ次は、(光れ!)
ピカンっ!
おお、光った。
この感じ、俺が知ってる属性は大体打てそうだな。
次は威力を強くしてみよう。
(ちょっと遠くで、竜巻よ!生まれろ!)
…………………あれ?
……………………おかしいn..バタンっ!!!
「ド、イド、ロイド!大丈夫!?
だからあれだけ外は駄目だって言ったじゃない!」
「今回はたまたまゴブリンが倒れていたけど、ゴブリンが生きていたらあなた、死んでいたのよ!?」
『ぅ、ぅあ。ぅぅぁ!』
一方的に言われると少し腹が立つ。
実際あのゴブリンを倒したのも俺だ。
母にその事実を伝えようとしても、この口が思うように動かない。
まあ、あんな所にゴブリンの死体と倒れている赤ん坊がいたらそりゃあゴブリンにやられたと思うか。
てか、俺が外に出たことを知られたってことは…
俺はドアに視線を向ける、
そこには案の定、閉まっているドアがあった。
(ああ!俺の唯一の自由が!)
はぁ、今度こそ本当に暇になってしまった。
もうこうなったら寝るしかないか。
俺はゆっくりと瞼を閉じる。………
ーーー続くーーー
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