第4話 生ビールで勢いつけて

町のハロウィンの催しがある日。

この日は商店街や地域の人達がお店を出したり

アマチュアの音楽サークルでダンスができるの。

それを知った時から私の心は決まった。


お風呂に入って、お化粧もいつもより

丁寧にしたわ。口紅は赤。マニキュアも赤。

真っ赤なドレスに黒のサコッシュベルトをギューと締める。

お気に入りのピアス。

ウィッグをつけて、仮面もつける。

ほんのり香水もつけた。


姿鏡に何度も何度も写しては、整える。

靴は黒のブーツにした。

もう、ピンヒールは履けないもの。

危なかっしい、、。


夜のしじまに月あかりは私の年齢には有難い。

夜風に吹かれながら、最初で最期の時を

勇気を出して過ごしたい。

そればかりを考えていた。


商店街の中央広場には、地域の親子連れや恋人や夫婦、友達なんかで集まっていた。

仮装してる人もそうでない人もハロウィンの夜を楽しんでいる。


あ、生ビールが売ってるわ。

シラフよりも少し飲んでた方がよさそうね。

プラスチックの容器に生ビールを一杯。

それを飲みながら、周りを見回す。


来てるかしら。

来てて欲しい。

思わず、星に願う。







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