第3話 カボチャじゃなくて甘栗

仮面は違うお店で見つけた。

色んな物があるけど。

ドレスと同じにしたわ。

レース編みの物。

目の周りだけが隠れるってのがいい。

顔面全部は泥棒じゃあるまいし。

独り言を言いながら、吹き出してしまった。


買いたい物は揃ったし帰ろうとしたら

懐かしい匂いがした。

甘栗屋さん!

ここは残ってたのね。

焼きたてを希望したら入れてくれるのも変わって無い。

ほかほか。

家に帰る時間がもどかしい。

ついつい小走りになったわ。


家に着いたら、何だか疲れがどっと出た。

ふー、甘栗とお茶を頂こうか。

甘栗の中には小さな手拭きと栗を割るための

三角でひとつの面がギザギザの白いプラスチックが入ってる。

変わらないなぁ。

それで、パクリと割って皮を剥くと艶のある

甘栗がころり。

自然の甘さとホクホクして美味しい。

一息ついたところで、買ってきた物を

広げてみた。


うん、いい買い物だったと思うわ。

これでハロウィンの仮装はきっと上手くいくはず。


そう、最初で最期のハロウィンの仮装。

胸がどきどきする。

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