第7話 討伐をした獣と猛獣は……

 そう言うアリアも、結構すごい事を色々と隠してるよな多分……。引かれると思って、まだまだスキルや魔法を隠してるハズだよな……。無詠唱でクールタイムなしで魔法を連射で放てるんだし。


 

「アリアもスゴイだろ。無詠唱だしさ」

 

「え? あぁ……うん? ユウくんも、同じのを使えるじゃない♪」


 

 詳しく聞きたかったけど……俺も隠し事をしてるのでアリアが聞いてこないし、俺も聞くのを止めておいた。俺も色々と聞かれたくなかったし。

 


「まぁなぁ〜。そろそろ……昼食の準備をするかぁ〜」

 

「そうだねっ」


 

 俺が倒した獣の肉の解体をして、二人でお金を出し合って買ってきた野菜を、アリアが手際よく下準備をした。アリアが調理をしてくれるので、俺は倒した獣の解体の続きをしていた。


 猛獣は種類により売れる部分が変わるけど、大抵は牙、爪、毛皮が基本売れる。他には薬にもなる内臓があるらしいけれど……俺は、そこまで詳しくは知らないので、勿体ないが内臓は全部処分して地中に埋葬をしておいた。


 

「次からは、この肉は売って野菜を買うお金と、自分達が食べるように取っておこうか?」

 

「良いの? ユウくんが倒したんだし、ユウくんのお小遣いにするんじゃないの?」



 アリアが、心配そうな表情をして俺の顔を覗き込んできて言ってくる。


 別に俺が欲しい物は……スキルで手に入るし、お金を出して欲しい物は特に無いかな……食材、デザートくらいかな……それはパーティの資金の肉を売ったお金で買えば良いし。魔石を売った大金も持っているし、お小遣いは十分すぎるほど持っている。

 

「お小遣いには困ってないし、俺は大丈夫かな……アリアが倒した猛獣はアリアのお小遣いで良いぞ?」

 

「えぇ〜悪いよ。わたしのお金も二人で決めて使お?」

 

「気にしなくても、遠慮いしなくても良いのに」



 アリアの、二人で決めよう? という意見にドキッとした。


 解体が終わり、肉と手を洗浄魔法でキレイにしておいた。アリアの方も調理が終わり、褒めて欲しそうに笑顔で駆け寄ってきていたので、頑張って調理をしてくれたアリアの頭を撫でて褒めた。


 

「はぅ……えへへ……♪」


 

 解体が終わった肉を収納をして片付けた。

 


「何か、手伝う事はあるか〜?」

 

「大丈夫だよ〜。ありがと♪ 休んでて良いよ」


 

 俺がムリに手伝っても、邪魔なだけだし……大人しく言われた通りに、木陰に座り木に寄りかかった。


 はぁ〜平和だね〜。青い大空が広がり、きれいな森の中の空気の匂いがして癒やされ。青々として太陽の光を木の葉が風に揺らされキラキラと輝き目でも癒やされる。

 

 当然この場所は、こんなに寛いでいられる場所じゃないんだけど……


 辺りを結界で覆い、気配、音、匂いを遮断して出入りも出来ないようにしてある。こっそりと結界を張っているんだけど、絶対にアリアに気付かれてるよな……? あの反応は。それか俺が警戒をしてるから安心をしてるのかな?

 初めの頃は、辺りを警戒しながら簡単な肉を焼き、パンと簡単なスープだけだったし。でも……今では、アリアは安心をして周りを警戒している感じが全く無い。それにメニューも、普通の家庭で作るような料理を作っている。


 さて……暇だし、俺だけ休憩をしているのも悪いし。解体用のナイフを改造しようかな〜。

 えっと……試しに、収納をしてあるナイフと魔石を「統合と分離のスキル」「具現化スキル」を使い、ナイフと魔石を融合をし元のナイフを少しオシャレにしたイメージをして取り出してみた。


 おおぉっ! 見た目は成功じゃん? 刃欠けと汚れが消えて、新品になり持ち手の部分にオシャレに魔石が嵌っていて高級品に見える。見た目は大成功だ!


 後は……ナイフに付与をしないとだよな。とりあえずは強度上昇、切れ味上昇、耐久性上昇、防汚効果、洗浄効果ってくらいかな?


  付与スキルで付与をさせると、異様なオーラを放つナイフが出来上がった。普段は、刃が欠けるし汚いので絶対にしないが、試しに枝を切ってみる事にした。


 枝を拾い手に持ちナイフで切ると、何の抵抗感も無く豆腐を切る感じで、スパッと切れたという感じでは無くスッと切れた。


 な、なんだこれ……! すごっ! 太い枝も豆腐みたいじゃん! ……あ! これは、やり過ぎだよな……? まな板まで軽く切れちゃう。切れ味を調整をして出来上がりかな。


 

「アリア、アリア〜!えへへ……これ使ってみて?」

 

「え? なに〜? ニヤニヤして〜また何か作ったの?」


 

 俺が嬉しそうな表情で渡したナイフを受取り、渡されたアリアも嬉しそうに、余っていた野菜を切った。


 

「わわわぁ! なにこれ……!? 何も切ってる感じがしないよ? おもしろ〜い! これを売った……ら……ううん何でも無いや。すごいね〜」


 

 やっぱり……アリアは色々と考えて、気を使ってくれてるな。


 

「アリアのナイフと交換する?」

 

「え? はい? えっと……わたしのは、刃がボロボロな状態だよ? 交換して良いの?」

 

「別に良いけど……? 思い入れとか無ければ交換しよ。思い入れがあれば、作り直してあげるよ」

 

「え〜とぉ……交換が良いなぁ……。ユウくんのナイフが良い♪ ありがと〜♪ ユウくん」


 

 木陰に戻った。もう2度目だったので、同じ様に収納をして同じ要領で作り直した。


 昼食を二人で世間話をして楽しく食べていた。すると結界を張ってある周りに以上を感じた。どうやら取り囲まれている気配を感じる。……それほど強さは感じられないし、敵意も感じられない。

 

 人間かな? 野良犬の群れとか? 低級の魔獣の群れとか? まぁ……強い上級の魔物が気配を抑えてる場合もあるけど。その時は転移で逃げれば大丈夫だし。それに結界を破壊して入ってくる様子もなさそう。


 

「なんか……取り囲まれてるかな……」

 

「え? 大丈夫かなぁ……? 移動する?」


 

 それを聞いたアリアが、一瞬だけ不安な表情を見せたが俺が慌てていなかったので、いつも通りのアリア戻って落ち着いている。


 

「食事も終わったし、様子を見に行く?」

 

「うぅ〜ん……そうだね。ここの場所は良い所だし、また来たいかな。だから様子を見てみみよ?」


 

 二人で気配を消してコッソリと叢に隠れ覗くと、ネコ耳の獣人が結界の周りで話し合いをしていた。


 

「わわわぁ。獣人族だよ……初めて見たぁ……」

 

「俺も初めて見た。獣人族って凶暴なのかな?」

 

「うぅ〜ん……人間と同じで、凶暴な獣人もいるし、友好的な獣人もいるって聞いたよ」



 そりゃそうか……知能があれば、性格も気性も個性があるか。人間は凶暴なのかな? って聞いてるのと同じだな……

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