第49話 お祭り狂騒曲④
✡前話の最後の部分の※の説明を省きました。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
♢
「私が商品券の紙の制作を急ぐ理由として、デザインコンテストの開催を考えています」
「「「「「「「「デザインコンテスト?」」」」」」」」
おやっ!?今まで、無言で聞いていた他の方々まで口を揃えましたか?なるほど。こちらに興味があるんですね。
「羊皮紙もそうですが、紙にはそれぞれの特徴がありますよにぇ?絵の具のノリや発色にゃど、描くキャンパスの材質でガラリと変わる…」
「はい!」
「どうぞ」
名前が分からないが、商業ギルドの
「私は絵を趣味としていますが、ミオ様はどんな絵を描かれますか?」
(むっ……)
「……申し訳ありませんが、個人的質問にお答えすることはしておりません」
ジョウが反応して耳を動かしたからね。下手な発言は止めよう。
「そうですか、分かりました」
少し気分を害したみたいだ。眉が寄っている。たがここは職場だからね?
「……ミオ様、少しいいだろうか?」
「はい、ギルマス」
「皆、聞いてくれ。この会議は昨日の朝から開かれている。既に最初の会議の目的は達した。今から続く議会は、祭りが主体の流れとなる。今から名前を呼ぶ者は残り、呼ばれなかった者は持ち場に戻ってくれ。なお、この会議の内容については、一切の他言無用とする。仕事上の漏洩が禁じられていることをゆめゆめ忘れんようにな」
「……っ!?」
口を開こうとしている者は、ギルマスに先手を打たれ、悔しそうに歯噛みをする。
「では、発表する。祭りのメンバーたるマット、シモン、リア、ビクターの四人。それに加えてサブマスのサミー、リカルド、セナ、ヒルド、以上計八名が残るように」
ギルマスの人員発表の後、波が引くように人が去っていった。二十人くら人数がいたから、半分ぐらいになったかな?
「ミオ様、お待たせしました。これ以上の内容は、機密扱いになると思い、人員を減らしました。少し燥いでしまいましたが、元々は商品券の運用と、ビンゴゲームへの反応を見るためでしたから」
目的は達したとばかりに、言葉を終わらせたギルマス。
「その新しい人たちは、どういった目的で残って頂いたんですか?」
「あぁ、彼らですか?彼らは、ミオ様担当執務実行係です」
「……は?」
私の疑問の声が出る。私の顔は、鳩が豆鉄砲を食ったような顔だ。なに、私の執務実行係って?
「ふ〜ん?」
意味ありげに笑うサミーさんよ。自分だけ理解してますよ?の体はどうでしょう。情報共有しましょうよ。
ワタワタと焦る私と違い、ジョウは冷めた目で私を見ていた。
(だから言わんこっちゃない)
(なにが?)
(一肌脱ぐなど大盤振る舞いしおって……その挙げ句に、デザインコンテストだと?事案がいくつになると思ってる。ギルマスの直感は正しい。ミオが自覚していないだけで、まだ事案が隠れているだろう。急遽部署を作るのもさもありなんといった結果だ。つまり、自業自得だな)
(納得いか〜んっ!私はただ…自分の言動が招いた結果だから、少しお手伝いしようとしただけだし!?)
(先ほどの会議で、早くも一人嗅ぎつけてきおったわ。何気ない質問を装ったのも、ミオのパーソナルスペースを調べるためだろう)
(あれで!?)
(どこが引き際か、その道のエキスパートなら一発だろう。どの組織でも、一枚岩ではないのだ。手伝うのは構わんが、関わる人員には慎重になれ)
(はぁい)
見るからにしょんぼりした私と、ワフワフと興奮気味に喋るジョウ。傍から見ても、お説教されているのは一発で丸わかりだった。
「ミオ様、デザインコンテストなるものは、どういったものなんですか?」
空気を変えようと口を開いてくれたマットさん。優しい。
「うぅ…マットさん。お気遣いありがとうございます。デザインコンテストはですね、催事の第二弾で思いついたアイディアなんです」
「第二弾?」
リアさんが首を傾げるが、前の板に書いてあるよね?午前と午後の開催をどうするかって。
「午前中はビンゴゲームで、午後はそのデザインコンテスト。手っ取り早くいえば、商品券のデザインを競う大会です。経費の大半をビンゴゲームで消えても、午後は賞状と、副賞に商品券のデザイン掲載権にすれば、全然お金はかかりません」
「でも、絵を募集するのはそんなに簡単なことじゃないんだよ?第一、絵を描いている人口が圧倒的に少ないし。お金はかからないと言ったけど、著名な画家に依頼するには、高額なお金が必要なんだ」
「……えっと、私と皆さんで認識のズレが出てますにぇ。大会と言ってもそんにゃ大層にゃものではにゃく、地域浸透を狙った地元密着型の大会にしたいんです」
私の言葉に、シモンさんがこちらの現状を教えてくれる。芸術はお金がかかるのは、どこの世界も一緒か。生活にゆとりがなければ、娯楽には手を出せない。祭りの準備期間も含めて、少しでも描く楽しみを味わってくれたら嬉しい。
「地域浸透?」
「地元密着型?」
リアさんとビクターさんの首を傾げるのを、何故か、口端を上げて見ているサミーさんでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます