第40話 景品は、目玉を作れ!
☆前回の39話で、一部文章を付け足しましたので、お知らせします。
以下、抜粋。
「「【ビンゴゲーム】?」」
「はい。✦豪華景品を狙う大人向けゲーム!勿論、子供用にも出来ますよ?景品のグレードを子供が喜ぶお菓子などに変更すればいいですし!✦説明するより、やってみたほうが早いですにぇ。そのメモ用紙、二枚頂けますか?」
✦文章を付け足した部分✦になります。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
本文
「それで?ものは試しの遊びで、そんなに盛り上がっているんです。景品があればさぞ盛り上がるのでしょうが、ミオはどんな景品を考えているんですか?」
エイルさんが多少唇を尖らせながら聞いてくる。え?自分が参加出来なかったから、すねてるの?貴方は、保証人としての役割を果たして下さいよ。
しかも私に景品の話、振る?そこは催事の経費を把握してる人のお仕事でしょ?私の任務はアイディア提供だけ!
「え?私?そこは商業ギルドの真骨頂では?物流も要の要。本場にゃんですから。どんにゃ商品が売れ筋とか。消費者のニーズは抑えているでしょう?」
第一、私はこちらに来たばかりだし。皆がなにを欲しいのか、さっぱり分からんよ?私が答えるとなると、日本Ver.になってしまう。そうなると、高価仕様になるのは目に見えている。治安が必ず良いとはいえない市井で、景品を持って帰るなど、鴨が葱を背負っているのと一緒である。
(ミオ、とりあえず自分の考えを話してみたらどうだ?皆、お前の意見を待っている。我輩たちは、まだまだこの世界には不慣れだが、それは彼らが修正してくれるだろう。だから、とりあえずミオの考えを吐き出してみろ)
(そうだね。分かった)
ジョウに促され、思考を切り上げ顔を上げれば、マットさんたちがスタンバイしているのが視界に入る。えぇぇ。
(これ、そのまま鵜呑みにしそうな勢いなんだけど?大丈夫かな?)
(大丈夫だろう……多分)
私は内心で引きつつ、彼らには愛想笑いを浮かべた。ジョウなど、もはやそっぽを向いて一抜けだ。
「えっと、にゃにが聞きたいんでしたっけ?」
皆の期待が重い。なにを考えてたか、すっかり飛んじゃったよ。
「景品ですよ、ミオ。ここでは、そういう遊びは賭け事として扱われ『ちょっと待ってください!』……なんでしょうか?」
エイルさんの勘違いに、私は声を上げずにはいられない。だって、祭りは子供も参加するんだよ?それに、賭け事はまずい。
「お祭りの開催資金として、住民の方から
私が確認するようにマットさんを見れば、彼は「そうだ」と頷く。
「仰るとおりです。前回の祭りの余剰金もありますが、住民の方のご寄付とご領主様から頂いた補助金です」
「であれば、これはお金を取るゲームではありません。住民の方に楽しんで頂く催事、イベントです。勿論、近隣の村や街から来られた方も、領主様が補助金を出して頂いているにゃら、参加の権利は発生します」
「勿論、毎年楽しんで頂いております」
そう言うけど、で「つまらない」って意見が出てるから、今こんなに大変なんでしょ?現実逃避してないで、前を向きましょう?
「なるほど。そういう考え方ですか」
要領を得たエイルさんが、納得顔でしきりに頷いている。ビクターさんが胡乱気な視線を投げかけてますよ?
なぁに?エイルさんってば。弟子の私がなにか面白そうな提案をしたけど、蓋を開けてみれば、賭け事という泥船になりそうで心配だったの?
「はい。街の人達で作り上げるんです。屋台にゃどは別ですが、実行委員会主催ならば、金銭にゃく参加する権利があります。ですので、経費を度外視した私の考えた景品の情報を聞いたところで、参考ににゃるわけもなく『なります!』どぅわ!?」
机に乗り出したリオさんに、私はソファの上でひっくり返る。
「あっ、すみません!ですがミオ様が仰った通り、初めてのゲームなんです。参考のため、聞かせていただけませんか!?」
「……分かりました。あくまで、参考程度でお願いしますよ」
「はい!」
リアさんの必死な様子を見て、私は頭を捻る。上手く説明出来なくて申し訳ないけど、そちらで汲み取っておくれ。
「街の人たち老若男女が参加するビンゴゲーム。早い者勝ち。値段の高低差はあまり気にしにゃいとは言え、盛り上がりの為に、まずは景品に差を付けましょう」
考えながら呟いていく。私は独り言が多いと言われて育ったが、今も続いている癖だ。
「差……ですか?」
「はい。一番高価な景品は特賞!一組のみ!次は一等、その次は二等、三等という風にします。ただ、皆が楽しみのお祭りにゃので、勝敗のような遊びにはしたくありません。公平感を出すために、ビンゴが出にゃかった人には、参加賞として木のスプーンにゃどの粗品を準備すると良いですにぇ。今回は時間もにゃいとのことにゃので、スプーン自体への印字は難しいでしょう。包装材に『アターキルの街・秋の収穫祭 ビンゴゲーム参加賞』とか印字を注文すれば、思い出ににゃると思いますよ?」
「公平感、粗品、包装材へ印字注文、思い出」
リアさんがブツブツと呟き、一言一句見逃すまいと一心不乱にメモってる。
「後は景品でしたね?やはり特賞は特別な賞ですからね。目玉商品です!……商売で言えば、客寄せですよ。自信がある商品の中で一番自信がある品!といえば、分かりやすいですかにぇ?」
皆が首を傾げるものだから、説明する羽目になる。時々ない言葉があるのは仕方ないけど、話の腰が折れる。
「それはそうと、一生に一度行けたら…例えば、結婚を考えている彼氏が女性へのプロポーズの場所に!とか狙いそうにゃ憧れのレストランはありませんかにぇ?」
「あります!二つほど候補がございます!」
リアさんが勢い良く手をあげた。女性は好きだよね、
「おぉ。さすが商業ギルド職員!特賞は、その高級レストランでのペアお食事券とかどうですか?彼氏さんが狙いそうですよにぇ?一等三組様は、中級ポーション一本、二等五組様は、人気の商店及び高級路線を謳った商店にゃどの商品券!値段は銀貨三枚分ぐらいが打倒かにゃ?三等十組様は、日用品詰め合わせセット、四等三十組様は、疲れを癒すお酒の四合瓶一本、五等は参加賞です!参加人数はどれくらいを予定しますか?ビンゴシートに参加賞など他店舗発注ににゃりますし。見積もりを取る必要がありますにぇ」
二ヶ月あれば、準備は出来るだろうけど。失敗をしないためには、仕事の進歩確認が大事だ。成功するように祈ろう。
「そうですね。議題に加えておきます!それと、一つだけ質問をいいでしょうか?」
「はい、どうぞ」
「商品券というのは、なんでしょうか?」
おぉう、商品券か。
私は額に手を当てた。そうだよね。日本の感覚で軽く考えてたけど、お互いに信頼がないと成り立たない商売だよね。
偽造を見抜く為にも、高度な印刷技術が求められる。こちらでは、魔法紙で作成になるだろうか?
そうすれば、制作費がかかり過ぎる?……まぁ、その道の専門の方もいらっしゃいますし、その方に助力を願ってください。
「ん?なんですか?」
「いえ、にゃにも」
横に座るエイルさんが、私の視線に気付き、問いかけてきた。ホントに敏感だよね。
「えっと……主に贈答用に役立てられているんですが。贈り物をしたい人が商店に銀貨一枚を支払えば、銀貨一枚分に変わる金券が発行されます。そしてそれを贈られた方は、その金券を発行した商店で、好きなものを買えるというわけです」
頭を捻り過ぎて、私の頭はオーバーヒート寸前です。ライフが0どころか、マイナスになりそう。
「なるほど。とても興味深い制度ですね。課題もありそうですが、今回限りで試験的に行うのもありですね。いずれにしろ、ギルマス案件ですので、持ち帰らせて頂きます」
勿論ですとも!そちらのやりやすいやり方を模索して下さい!景品も、お祭り当日まで楽しみにしておきますぅ!(訳:後は自力でお願いします)
「私の景品の話は、参考例にゃんですから。そちらのやり方でお願いします」
これでゲームや景品については、どんな感じか見通しは持てたと思う。後は、商業ギルドの腕の見せ所だ。
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