第9話 共同研究発足!
「確かにあにょ魔導船と出会いましたが、アレにエイルさんも
「確かにあの船長は、語気が荒いですからね」
仕方なさげに眉尻を下げるエイルさんに、私は気なることを聞いてみた。
「あにょ魔導船にょ空路はどうにゃってるんですか?」
「アレは、聖国からアターキルまでの空路ですよ。途中、クリーク連合にも経由する便もありますね」
「そうにゃんですにぇ。クリーク連合共和国は、商業ギルドの本拠地ですよにぇ。様々にゃ物品が集まると聞いています。珍しい物が沢山ありそうです!」
「えぇ。ですから、クリークからの空輸便の駐機場として、アターキルは空輸の要として賑わっていますよ」
「そうにゃんですにぇ」
「商いに興味が?」
「いや…調薬釜で作製した物を売ったり出来るかにゃ?って思ったくらいです」
「製薬品を取り扱うなら、薬師ギルドの登録が必要です。丁度私が名誉副会長をしていますので、今度登録しに行きましょうか」
「名誉副会長!?…是非お願いします」
その為にも、図鑑を覚えなくちゃな…脳みそが破裂しないと良いな。
「そういえば、こちらでは
「軟膏などの塗り薬もありますが、ポーションが主流ですね」
ポーションは嵩張るので、水無し丸薬にすれば手っ取り早いんじゃないかと思ったのだ。
荷物の重量も減るし、割れる心配をする必要もない。森の探索は神経を使うし、そちらに気力を絞れるので、十分有用だと思う。なにより、女性には重要なトイレ問題も孕んでおり、丸薬ならば、お腹タプタプなんて事態も避けられる。特に動きを阻害する煩わしさもなく、戦闘中気を散らすこともない。
私はそれをエイルさんに聞いてみた。冒険者ギルドのサブマスも兼任している彼なら、冒険者の装備などにも詳しいだろう。
「そうですね…腰のベルトポーチに布で固定して内臓したり、背負い袋に無造作に布に包むだけの危機意識の欠如がある初心者冒険者もいますよ?中堅になると、パーティーを組みサポーターを雇う冒険者が増えてきますね。AランクやSなどの高位冒険者になると、マジックバックを購入・所持する者が少なくありません」
顎に手を当てながら、思い出すように話すエイルさん。その初心者冒険者は気になるところだけど、この世界は自己責任が多い世界だ。だから、生命の扱いも軽く、発展の寄与にも意識が薄い。
「では、丸薬が売れるのは中堅辺りですねぇ」
製薬の形状改良ということで、瓶が包装紙になる。加えて丸薬という凝固剤の開発も必須。当然、ポーションより少し割高になるのは仕方ない。それを踏まえれば、実りある依頼が遂行出来る中堅辺りがお得意様になるだろう。
「…先ほどからポーションや冒険者について聞いていましたが、丸薬とはなんでしょう?」
瞳を輝かせズイッと迫るエイルさんは、好奇心旺盛な少年そのものだ。
「丸薬とは、ポーションや薬効にょある薬を固形状にした薬にょことです。固形剤にょ配合次第では、水無しも可能です。水薬に比べると管理もしやすく、消費期限も長いです。錠剤にゃにょで持ち運びも容易で、冒険者の方に需要があるかと思います。また量り売りも可能ですにょで、市井にょ方にょ手にも届きやすいかと…」
「薬の保存が効く薬ですって!? そんな画期的な方法があるんですか!? どうやって作るんですか!?」
矢継ぎ早に質問を繰り返すエイルさんは、身を乗り出しすぎて、机に身体が乗っている。
「エイルさん、落ち着いて下さい。私にょ考えている丸薬が、煎じ薬と同等にょ効果を発揮するか分からにゃいんです。煎じ薬の長所は、本来の薬効が十分に発揮されることにあります。液体で体内への吸収が良いにょも一役買っています」
朝採れ一番の新鮮な薬草は、ポーションにする際に効能が良いそうだ。乾燥・粉末加工が出来る薬草でも、期限はある。時間が経つに連れ、最高品質→高品質→良品質とグレードは下がり、値段も下がる。日本は高温多湿だが、正にそれは大敵な温度だ。日本の薬もよく、冷暗所での保存を推奨していた。
「えぇ!ですから、実験が必要なんですよね!?ポーションはポーションの強みもありますが、弱点もあります。その弱点を補う薬が出来れば、それは薬品業界に大変革をもたらすのです。ポーションの高騰化で手の届かない方たちにも、薬が手に入りやすくなるかも知れません!」
「確かに丸薬は錠剤ですから、量り売りは可能ですが…」
「ならば、一層研究の余地はあります!ミオの言い方だと改良の仕方は思いついているんですよね!?ならば後は、試して鑑定の繰り返しです!さぁ、私と一緒に試しましょう!?」
「えっと……よろしくおにぇがいします?」
若干の不安を残しつつ、私は有力な協力者を得た。慣れない調薬釜に手間取るかもしれないが、出来上がりは鑑定に聞けばいい。用法・用量が簡単に分かるなんて、なんて便利な世界なの♪
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