第6話

☆長くなるので、分けます!(⁠。⁠・⁠ω⁠・⁠。⁠)⁠ノ⁠♡


 私は枯れ枝を拾い終わって、テント近くに置いた。テントは、ジョウが持ってきていたやつだ。私が出す前に、テキパキと準備を始めてしまった。

 だから私は、ガイア様に用意してもらったテントがインベントリに入ってるんだけど、まだ確認していない。


 そして下界に降りてきたのは、朝だったらしい。月が間近に迫る感動で、すっかり時間を忘れていた。

 今は太陽が一時の位置にあり、少し傾いている。


「夕飯を作るには、まだ早いか」


 私がそう呟けば、ジョウから提案があった。


『ウルシア様から頂いた資料を読んではどうだ?』

「そうだね!読んでみるよ」


 早速、ガイア様に授けらせたインベントリを開き、中をゴソゴソと探れば、紙束が手に触れたのでそれを取り出す。

 思い浮かべれば手に吸い寄せられるんだから、大変便利な収納である。



【各国の情勢と異世界の生活】


世界名 ユーザフェース

大陸名 アカラント

 国名 サーザン帝国・ユーラン公国・クリーク連合共和国・アサシード聖国・フリータール王国・深層の森に集落を構えて暮らす、エルフやドワーフなどの亜人・獣人などの種族が多数。


 言葉 世界共通語・各国の暦語・神聖語(資料がごく僅かのため、失われた言葉と言われている)・各種族の族語(エルフ・ドワーフ・魔人族・各獣人)


 貨幣 G(ガル)…基本的に、アカラント大陸の共通貨幣。しかし、集落などは物々交換が主流。貨幣の流通はあまりない。


 鉄貨1枚(十円)・銅貨1枚(百円)・銀貨1枚(千円)・金貨1枚(一万)・大金貨1枚(十万)・白金貨1枚(一干万)・虹金貨1枚(一億)


☆現在地・・・深層しんそうの浮島で、聖域になります。アサシード聖国という、ウルシアちゃんを信仰している国の上空に浮いている島です。ここは人間の管理外の場所ですが、アサシード聖国の猊下と加護持ちのみが、足を踏み入れることを許可しています。但し猊下は、正当な理由がある時だけです。


「聖域って…浮島だったのか。どおりで、月が近いわけだよ」


 妙な納得をしながら、私は次へと読み進める。


聖域侵入条件

・加護持ち→無条件。フリーパス。

・猊下→申請書献上。審議の上、許可。


 地図はMAPに表示しています。

 ウルシアちゃんのお勧めは、フリータール王国よ♡

 

「……さて、MAPを見てみようかな?MAP、オープン!」


 ブォン!と電子音を立てて開いたMAPには、グレーの色で薄く表示してあった。国境線は、多少濃い色で線が引かれていたが。


「これが、深層の森だね」


 大陸のほぼ真ん中に、デン!と陣取るだだっ広い森は、一目で分かる。森の一言で終わらせてしまっていいのか、疑問が残る広さだ。森だけでなく、山脈も一杯だ。その周囲に、国が散らばってる。


「私がいるアサシード聖国は、森が中心部だとしたら、北東か。そしてクリーク連合共和国が、東〜南東にある。その下がフリータール王国だね。ウルシア様のお勧めは、南の国か」


 アルプス山脈みたいに広がる山々は、南西から北西にある。サーザン帝国は、フリータール王国の西の国境沿いから聳え立つ、山脈を越えた先にある。ユーラン公国は、アサシード聖国のまだ上に位置する北国である。


「サーザン帝国は、チリみたいに細長そうな国だな。山脈がフリータール王国と断絶みたいな砦になってるけど……まさかね」


 帝国って、ラノベでもあまりいい印象がないんだよな。国として、悪役で書かれることが多いし。


「各国の特色はどんな感じかな?」


 ズラッと並んだ国の説明文に、私の視線は吸い寄せられた。国情が分かれば、私が行きたい国も自ずと割り出される。


 サーザン帝国…皇族が治める。臣下や貴族の採用・叙爵は実力至上主義。皇帝の方針で、次期皇帝は実力No.1の後継者生き残りを次期皇帝にすると発表。それから、次期皇帝を狙った命を賭けたサバイバル開始。兄妹間で勃発した争いは、激化中。

 お家騒動で犠牲になる民が増殖中。特に、無能の後継候補により散る命は多い。後継一人に、三名の審判官が付き、皇帝に定期的に報告している。

 故に、国を上げた実力至上主義は、力の弱い者を虐げる傾向が強い。

 奴隷制度有り。金に物を言わせた依頼が多く、違法な奴隷狩りが後を絶たない。特に、貴族からの非道な依頼が多数を占める。帝国は腐、斜陽の始まり。


 ユーラン公国…北にある小さな国。1年の半分を雪に閉ざされた雪国。人口は少ない。主な産業は、奴隷販売。隣国のサーザン帝国は、奴隷商業のお得意様。ダンジョンが三つ存在しているダンジョン国家でもある。ダンジョンからの掘り出し物のオークションも目玉。特になし。


 クリーク連合共和国…商業ギルド本拠地。商人の国。様々な物品が集まる流通の要。

 エルフ・竜族・ドワーフ・獣人が集まり出来た国。封建制度ではなく、各種族の代表が持ち回りで首長を務める。会議制度を用いる。

 エルフの国は、魔法学園。竜族の国は、騎士学園。ドワーフの国は、職業専門学園。獣人の国は、冒険・傭兵鍛錬所を経営している。

 故に、学園国家としても名高い。各国からの留学生も多数。法人で、魔導船を有する唯一の国である。発展途上の国よん♪


 アサシード聖国…ウルシアちゃんを信仰する神聖国家。だが最近の猊下の方針で、危うき道に進み出した?要注意の国である。説明したくない…。


 フリータール王国…フリータール王国は、王族が治める専制政治の国である。

 国王以下貴族制を用いており、各領地にそれぞれの領主が存在している。

 また各領地には、国の権力からは外れた独立機関の冒険者ギルド・商業ギルド・職人ギルドがある。

 人族至上主義を謳う聖国や帝国などの差別的国家とは違い、多くの人種が集う多種民族国家となっている。

 それぞれの種族の得意分野を活かした産業を先進政策として扱っており、他国からの輸出入も頻繁に行われている活気ある国になっている。

 また、帝国や公国とは違い、フリータール王国は奴隷制度は撤廃されている。だが、国の厳正な管理下の元、犯罪と借金奴隷のみが存在している。

 フリータールはお勧めよ♡


「最後にめっちゃ私情挟んでるやん」

『どうした?ミオ。随分熱心に読み込んでいたな。こちらは、テントは設営が終わったぞ』

「ありがとう、ジョウ!ウルシア様から貰った資料を読んでたんだけど、国の説明で、たまに私情が入るから呆れてただけ」


 はは…と乾いた笑いを浮かべる私に、

『そうか。女神様も、色々あるんだろう。愚痴を溢す相手がいないから、ミオに愚痴を吐いたんだろう。それより、どこかいい国はあったか?』


 と聞いてきた。それより…って、この場面をウルシア様が見てたら、怒られるよ?


「そうだにぇ。クリーク連合共和国かフリータール王国かな?ウルシア様は、フリータール王国がお勧めみたいだけど」


 私に愚痴を吐くというより、書類にやつあたり?読み手は私だけどね。

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