第3話
「ミオが考えている通り、治癒魔法やポーションが主じゃ。医者もいるが、特別階級に囲われとる。いわゆる侍医という職じゃ。領都や街には薬師ギルドがあって、薬も揃っているじゃろうが…小さい町や村には、薬師の存在さえも珍しいかもしれん。じゃが、辺境や広大なもりがある場所近辺には、薬草や豊富な資源目当てに、薬師が住み着いとるかもしれんのぉ」
「分かりました。では、病気になった時に備えて、薬が作れるスキルが欲しいです」
「ふむ、確かにな。せっかくお詫びとして転生してもらうのに、すぐに死なれては困るからのぉ……よし、調薬というスキルはどうかの?」
「ちょうやく…」
「うむ。ミオの世界では、調剤師という職があるな?」
「はい、あります」
「調薬スキルは、その職そのものと思ってもらって良い。調合レシピから薬効、更に材料の詳細情報までを網羅したスキルじゃ。スキルの上達には、調薬を繰り返し行うしかないが、そこはミオの努力に期待しよう」
「もちろんです。ここまで整えていただけたんです。後は、自分で頑張ります!ありがとうございます」
「どれ、こんなところかの?特別隠蔽と称号は、儂とウルシアからのせめてもの詫びじゃ」
「ありがとうございます。でも、特別隠蔽ってなんですか?」
称号はなんとなくわかる。きっと創世神様や女神の加護、転生者とかでしょ?しかし、それは隠すほど物騒なものなのか?
「特別隠蔽は、鑑定上位スキルの神眼でも見破れぬ。とっておきの隠蔽じゃよ。称号は物騒ではないが、二神の加護を持つ者は、至上初じゃ。教会の者が騒ぐかもしれんからな」
インベントリでも思ったが、やはり、スキルに上位や下位があった。しかしここでも、神が警戒するほどのヤバさなのか?教会よ。教会って、どれを読んでも良い印象がないな。
「ありがとうございます。……へんな輩は、どこにでもいますしね」
「うむ。不埒な輩は、思う存分成敗するがいいぞ!儂の世界は、やらねばやられる時があるでの」
「しかと心に刻みます」
地球…いや、日本の常識でいれば、あっという間に潰されるだろう。郷に入っては郷に従え、だ。やられたらやり返すという気持ちは常に持ち合わせよう。だけど同時に、情けは人の為ならず…も持っていよう。
日本にだって、悪い人もいれば、良い人もいる、異世界も同じだろう。
刃を向けられたら敵とみなしやり返す。手を差し伸べられたら、それを受け取り礼をする。
中々に難しい心的改革だが、徐々に慣れていくはずだ。よし、異世界でのスローガンが決まった!
〘目には目を、歯には歯を。我は、
刻石流水には、自分がした善行は、直ぐに忘れること…あるが、これだけは守れそうにない。だって、自分を褒めてあげなきゃ、誰が褒める?
いや、褒めて(感謝して)くれるだろうけど、私は皆だけじゃなく、自分にも感謝して生きたいし?
「いい心がけじゃ!」
「…おっとぉ?…ありがとうございます、ガイア様!」
私が考えに耽っていると、ガイア様から合いの手が入った。
忙殺されていた会社員時代は、日々を乗り越えるので精一杯。週末が休みなのも珍しく、まさにあの金曜日は、久しぶりの休日だった。
そんな私は、自分をすり減らして生きる人生に疑問を抱いていた。そして、せっかく与えられた機会だ!次は、悔いのないように生きたい、楽しみたい!
「あっ、ガイア様。魔法属性ですが、火 水風土の四属性でもいいですか?魔力量は、お城に仕えれる量があれば助かります」
「ふむ、
【名前 ミオ・テラオ
魔力量 200000
属性 火 水 風 土
スキル 行儀作法4 事務処理5
商談4 体術4 剣技3 語学4 MAP1 鑑定1
称号 転生者 創世神ガイアの加護 女神ウルシアの加護】
「おぉ、凄い!豪華なラインナップ!」
人生初のステータスに燥ぐミオだったが、後に、はしゃぎ過ぎたことを痛感することになる。
「生活魔法は、五歳の祝福の儀で授かるからの。後のレベルアップは、ミオ次第じゃて」
「ありがとうございます!」
「よいよい……おぉ、そろそろ時間じゃな。細かい事は、手紙に
「行ってきます!」
周囲が淡く光りだし、私の意識は静かに沈んでいった。
必死に追いかけてくるウルシアの姿があったことなど知らずに。
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