繋いだ手を離さないでいて

先生への電話

年賀状に書かれた先生の番号に電話してみる。

「もしもし。」

「先生？北川です......」

「おぉ北川か。悪い、また後でかけ直していい？」

「わかった。」

「悪いな。また後で。」

私がかけたタイミングが悪かったかな......

いつもの優しい先生とは違ってなんだかそっけない話し方。この間の約束忘れちゃったのかな。

ちょっとだけ電話したことを後悔した。

しばらくすると携帯が鳴った。

「もしもし。」

「佐藤だけど。さっきはごめん。」

「こんばんは。先生デート中だったの？」

「ははは。違うよ。さっきはまだ学校にいた。」

「学校？先生遅くまで仕事してるんだね。」

「今年から夜間の学校に転勤になったんだ。それで今帰ってきたばっかり。」

「そうだったんだ。先生お疲れ様。」

「おぉ。それで店は見つかった？」

「中華食べたいなと思ったんだけどお店が見つからなくて......」

「中華ならウマい店知ってるからそこでもいい？」

「うん。先生に任せるね。先生その日は何時に

仕事終わるの？」

「俺は昼過ぎには終わるから夕方には動けるよ。北川は？」

「私は休みだから先生の時間に合わせるよ。」

「じゃあ18時に迎えに行く。どこに行けばいい？」

「先生迎えに来てくれるの？」

「でも元担任が生徒の自宅近くにいるのはマズイか......」

「そんなことは、ないと思うけど......」

「じゃぁ北川が言う場所まで迎えに行くよ。」

明日の待ち合わせ場所を決めて電話を切った。

なんだか急にドキドキしてきた......

先生と二人で食事に行くのは問題ないよね？別に悪いことしてるわけじゃないもんね？