第一幕/第二話-2 オークションとアカウント登録
「招待状とスマホをこちらに渡してください」
部屋に入ると黒いアイマスクと黒いスーツを着た女性が立っていた。
マサトは言われた通りに黒いスーツの女性に招待状とスマホを差し出す。
「はい、どーぞ」
マサトは周囲を見渡し、女性の横にある椅子に腰を下ろした。
辺りは暗く、女性とマサトの所だけにスポットライトが当たっている。
「確かにお預かりしました。
それではアカウント登録を開始します。
中央のスポットライトの所までお進みください」
マサトは言われた通り歩を進める。
スポットライトの下まで辿り着き、周囲を見渡す。
特に変わった様子はない。
「今からマサト様の全身スキャンを開始します。
体に影響はありませんのでご心配なく。数秒で終わりますので」
「分かりました」
黒いスーツの女性がタブレットでなにやら操作を始め、丸いカメラのようなものが二体マサトの周りを飛び回り始めた。
なるほど、これがスキャンか。
全身360度くまなく球体が回り続けマサトの顔の前でパシャと音を鳴らし二体の球体は消えた。
「カメラで撮影されたような感じだな。
これでアカウント登録は終わりか?」
再び、椅子の所まで戻る。体に異常は無さそうだ。
「はい、こちらでアカウント登録は終了です。
スマホはお返しします。
画面をタップすれは起動致しますので不具合がないかお試しください」
手渡されたスマホの画面に触れると先程撮影された顔写真がアイコンとして表示されていた。
アイコンの下にはマサトと名前が表示されいる。
俺専用ってことなんだろう。
名前の下には
【マイページ カタログ オークション お知らせ】
と4つタブが並んでいる。画面の真ん中にそれだけしかなく普通のスマホとは違うようだ。
「このマイページとかカタログってなんなんですか?」
マサトはスマホに視線を向け聞いた。
「はい、ご説明致します。
まず、マイページはマサト様専用のページになります。
マイページにはお名前、年齢、登録地域、入札履歴、落札履歴、Pポイントなどがあります。
名前以外は非公開の設定が出来ますので非公開になさった方が宜しいかと思いますのでお試し下さい」
黒いスーツの女性がタブレット片手にスクロールしながら説明をする。
「へぇーそういう感じなんすね。Pポイントってのは?」
マサトがスマホをいじりながら聞く。その表情は新しいオモチャを見つけた子どものように笑みがこぼれている。
「Pポイントとは落札に必要なポイントの事です。Pポイントはマサト様が狩りをして貯めていただきます。
狩りの対象はモンスターです。ランク別になっており、最低10ポイントからとなっております。」
タブレット片手に女性は暗い部屋に白くぼんやりと光るスクリーンを出現させた。
そこにはゲームの画面のような草原にモンスターがウロウロとしている姿が映し出されている。
「一番お安いお品物でも最低100ポイントが必要です。
早い話がモンスターが蔓延る異世界で狩りをしてポイントやお金、素材などを貯めていただきます。貯めたポイントでオークションの品を落札していただきます。
もちろん、通貨とポイントを交換することも可能です。
どうです?ワクワクしませんか?」
アイマスクで表情はわかりづらいが口角が上がり鼻息も荒いように思える。
「つまり、異世界召喚とかそういうことか?
ちょっと拍子抜けなんですけど?」
モンスターを狩るゲームはやったことがあるし、RPGも嫌いじゃない。
むしろ得意なジャンルではある。
要するに冒険者やハンターになってモンスターを倒してポイントとかをゲットしろってことだろ?
「皆さんよくおっしゃるんですよね。
楽勝だ、チートだ、スキルだなんだと。
我々は神様ではありませんので会員の方に何かを差し上げることは出来ません。
欲しければオークションで落としてください。
大抵のものは揃っておりますよ?」
女性はクスクスと笑いながら話を続ける。
「よくあるアイテムボックスや言語スキル、魔法スキルなんかもオークションにはありますしね。人気の品で品切れもありますが。
武器や防具ぐらいは初回サービスでお好きなものを差し上げますよ」
女性はニッコリと笑い告げた。
「なるほどね、欲しけりゃ落札しろってことね。
初回サービスで武器や防具が手に入るならなんとかなるのかもな」
ふーんと顎に手を当てながらマサトは不敵な笑みを浮かべている。
「我々は神様ではありませんが、それなりのサポートはさせていただきます。
会員になられた方には初回サービスとして2000ポイントを差し上げています。
カタログをタップしてみて下さい」
マサトはスマホのカタログのタブをタップする。
上の方にPポイント2000とあり、その下には
【武器 防具 魔法スキル 一般スキル 便利アイテム オークション商品】
と並んでいる。
ますますファンタジーゲームのようだ。
「くっははは、武器や防具を揃えて欲しい商品をオークションで落札する。
実に分かりやすいね、いいね、実に俺好みだ」
マサトは椅子に座りながら天を仰ぎ顔に手のひらを当て声を殺して笑う。
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