第二節 SCENE-002

 神使たちと同様に、今は八坂の国津神として務めている襲も、生来の肉体マテリアルボディから離れ、地脈の管理者として契約した御神木から魔力の供給を受けている限り、取り立てて食事の必要はない。

 それでも、襲は血の繋がった子供たちの見守りがてら、食事時に居間へと顔を出す方ではあるが。夜狩から戻ったばかりの双子に構いに来ることは、比較的稀なケースだった。




「食べながらでいいから、聞いてくれる?」

「行儀が悪いって、クロウに叱られるわよ」

「見つからなければ大丈夫だよ」


 十四の子供より子供のようなことを言いながら、襲は座卓に頬杖をつく。


「食べ終わるまで待てないの?」

「待ってもいいけど、改まってするほど大した話ではないんだよね」

「ふぅん?」


 それなら余計に、食事が終わるまで待てばいいものを……と、思わなくもなかったが。

 すぐ隣に座っている伊月の様子を、ちらりと窺ってから。鏡夜は襲のことなど素知らぬ顔で、自分の前に置かれている箸へと手を伸ばした。



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