ヒラケゴマ
ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、と、リビングから聞こえてくるのはリモコンの音だ。
あまりに続くので、昼食の準備を止めた。
「なにー?」
「つかないんだ」
会話の間にもリモコンの音は続いている。
「壊れてるわ」
ぴぴぴぴ、ぴ。ぴー。音がするたび、隣にある母の寝室で、電気が点いたり消えたりしている。
「だってそれテレビのリモコンじゃないし」
聞いているのかいないのか、母はまたリモコンを押す。勿論電気が点く。
「テレビつかないんだ」
「うん、お母さん、それ、」
いつもの事です。
ノートを開くようにリモコンのボタンを開けようとしていた事もあるので、おどろかない。
ただ、
「開かない」
「開かない」
夜中に壁を開けようとガリガリするのはやめて欲しい。黄泉平坂でもあるのか? うっかり開いたら困る。面倒すぎる。
万が一開くなら、こっちは心の扉を開くからな。覚悟しろ。
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