第7話 民法601条 物件を使用に適切な状態で使用させる義務

ふと頭によぎる。

不動産屋を訴えると、情報が全国で共有されて、二度と賃貸を借りられなくなったりしないだろうか。


今回訴えているのはある街を拠点とする不動産屋なので、その不動産では借りられなくなるだろうが、他の不動産屋でも借りられなくなるとか、保証契約ができなくなるようなことはないだろう。


ただ、それは表向きで、不動産屋同士で情報が共有されていて、わたしの個人名で記録されていれば、借りられないという状況がないとも限らない。


今は今回のことでお金を使ってしまったので、次の部屋を借りるという訳にもいかないが、数年後に再度一人暮らしに挑戦するときに、部屋を貸してもらえないということがあると困るだろうな。


やはり強いのは貸す側だ。

ホリエモンがよく動画で、賃貸でいい、家買うやつはバカと言っていて、うちの親はローンで家を買って苦労したので、賃貸という考え方が正しいのかなと思うこともあるが、こうして賃貸トラブルに見舞われてみると、借りる側の立場の弱さを感じる。

ホリエモンのように、ホテルで暮らせるぐらい財力があれば別だろうけれど。


先行きは不安だ。だが、今から将来あるかないかのことを心配しても仕方ない。


 *


先日家主から届いた示談の書類(第6話参照)には、害虫駆除と退去費用についてのみ支払をする旨の記載があった。わたしが求めているのは契約金や家賃、廃棄家具など、この物件に関わったがために出た損失の全てだが、実際認められるのかを整理してみた。


(1)クーリングオフはできない

 8日間以上経っており、既に対象不動産の引き渡しを受けて、なおかつ代金を全額支払っている

(2)引っ越し費用相当額の賠償

 今回は退去後、実家に戻ってきているので引っ越しなどの費用を請求できない

(3)損害賠償の請求

 ケースバイケース

(4)賃借人に責任がないなら減額が認められるケース

 今回は全額を求めているが、減額ということであれば、そもそも全額は求められないのではないか


第3話で整理したように、ケースによっては請求がある程度通ったケースもあるようだが、こうしたネガティブ要素もあることを考えると、裁判官さんによって違う判決が出るぐらいにはむずかしい裁判なのかもしれない。


 *


民法601条では、害虫などの発生で家賃を返してもらえる可能性がある。


  民法601条:物件を使用に適切な状態で使用させる義務がある。物件内に問題があれば、修繕などを行って状況を改善する必要がある。


しかし民法620条では終わってしまったことについては取り戻しができず、前払金の分だけ返してもらえると書かれている。


  民法620条:賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみ、その効力を生ずる。


 *


家主が返金すると言っているのも駆除費用と解約金のみ。どうやらきちんと弁護士をつけるか、勉強するかなどをやっているとみていい。


 *


今回の場合、入居して間もなく害虫が発生して、3カ月の間に何度も訴えたがなにもしてもらえなかった。そしてわたしは1日も暮らせていない。

そこらへんを強く訴えてみたい。


 *


裁判ではネガティブ要素があった場合でも、こちらからそのことを言う必要はない。逆にポジティブ要素を訴えて、勝ちをつかまなくては。


裁判まであと1週間少し。

書類をきちんと揃えて、シュミレーションをしっかりして当日を迎えたい。


 *


次の更新は裁判後になります。よろしくお願いします。



参照:


・閲覧注意 賃貸物件にゴキブリが!クレーム先と対応するケースを不動産会社が解説


https://journal.chintai.net/episode/cockroach/#i-7



・貸室設備の不具合による賃料減額は認められる?

 民法611条1項

https://fudosan.izumi-legal.com/column/trouble/fuguai-gengaku#:~:text=%EF%BC%91%EF%BC%8E%E8%B3%83%E5%80%9F%E4%BA%BA%E3%81%AB%E8%B2%AC%E4%BB%BB,%E3%81%A6%E3%80%81%E6%B8%9B%E9%A1%8D%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82%E3%80%8D


・国土交通省

 「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集」についてhttps://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000117.html

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