第5話 訴状提出後、簡易裁判所の対応と被告の反応

訴状提出後、裁判官さんが訴状と証拠を確認するフェーズに入る。


被告がどのように対応するのか、どういう流れになるのかなどを動画で学ぶことにした。めちゃくちゃ分かりやすく解説した動画を下記に貼っておく。

動画を検索するのもけっこう大変なので、こちらはおすすめです。


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・元裁判所書記官が綴る

 https://www.youtube.com/@USHIDA.TSUKASA

 「#129【本人訴訟の不安解消に】民事訴訟がどのように進んでいくかをご説明します。」


・リーガルメディアTV

 https://www.youtube.com/@nagasesogo

「裁判上の和解のポイント」


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しばらくして、簡易裁判所から携帯電話に連絡が入った。

9月前半のことだ。

職員さんだが、書記官さんと呼ぶのかもしれない。


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職員さん:今回の事件番号をお知らせします。今後は裁判の問い合わせなどにはこの番号をお知らせください。


と、裁判の事件番号を教えてもらった、フォーマットがあり裁判所名+支部名、元号、事件記録符号、番号で構成されている。昇順だとすれば、この支部で今年何回目の裁判になるかが想像できるのかもしない。


職員さん:今回の請求額の詳細が証拠としては提出されているのですが、訴状に盛り込まれていないため、訴状の請求の原因に追記して頂く必要があります。


簡易裁判所に行って、訴状を提出した際も職員さんに書類は確認して頂いたので、おそらくは裁判官さんが書類を通してみた際に気づいて、わたしに伝えるように指示出しをしてくださったのではないだろうか。


職員さん:訴状補足文書というものを作成して送付してください。中身は証拠として提出して頂いたものと同じでいいです。

わたし:わかりました。

職員さん:もう一点質問ですが、今回の請求額は不動産屋に払うことを求めていますか、または家主に払うことを求めていますか。

わたし:両方です。家賃については家主になりますが、契約費用や管理費用、損失となった家財などは不動産会社に責任があります。また、すべてのやり取りは不動産会社としていますので、わたしが直接家主に(駆除などを)お願いすることはできませんでした。その点からも双方で決めて支払いをしてもらいたいです。

職員さん:わかりました。では、この訴状では「被告は支払え」とあるところを「被告らは支払え」に修正する必要があります。

わたし:わかりました。

職員さん:裁判の日付はいつがいいでしょうか。

わたし:来月の〇日でお願いします。


およそ1カ月後に裁判をすることが決まった。


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入居から退出まで、ひとりで不動産屋とやり取りをし、孤独な戦いをしていたが、ようやく訴状が提出できた結果、ちゃんと弁護士さんのところにわたしの言葉が届いているということが実感できて嬉しかった。

わたしは早速訴状補足文書を作成して簡易裁判所に送付した。

今度は送り先も間違っていない。


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それから、しばらくはどこからも音沙汰がなかった。

訴状補足文書が簡易裁判所に届き、不動産屋と家主に訴状などが送達されたはずだ。

動画で学んだところでは、被告は答弁書を出したりする期間になるらしい。


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数日して、裁判所から裁判への呼び出し書類がきた。

同じものが被告側にも送付されている。

確認をした旨を返送する必要がある。

こちらも簡易裁判所の職員さんから「早めに返送してくださいね」と言われていたものだ。教えてもらったとおり事が進んでいくのは安心する。

逆に予想しないことがあると、とても不安になってしまう。

この間、訴状を郵送したら法務局に届いたときはびっくりして心拍数が上がってしまった。

できるだけ、動画やネットで学んだとおり裁判当日を迎えたい。


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10月末、被告の家主からレターパックプラスに入った示談書が届いた。

1通の示談書と、その控え(同じもの)の紙2枚のみだった。

内容は約8万円で示談せよというもので、わたしがサインして返送するようだ。

訴状の内容に踏み込むことはなにも記載されておらず、謝罪もないし、返送用の切手が入っている訳でもない。


支払い明細は、駆除費用、掃除費用、解約金で、契約費用や保険料、保障費用、廃棄せざるを得なかった家財などは対象としていない。家賃などについても返金はしない姿勢らしい。


こちらが請求しているのは、この不動産会社に関わらなった場合に手元に残っていた金額の40万円なので示談に応じることはない。


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とは言え、裁判をしたときに負ける可能性も高い。

家賃の返金裁判で、廃棄した冷蔵庫やレンジまで請求額に盛り込んでいる裁判を裁判例で見かけたことがないからだ。


でも、わたしは今回盛り込んだ。

なぜなら、わたしが3カ月の間恐怖し続けたり、不眠になったりといった精神的な被害については、請求額に盛り込めないからだ。

証拠となる領収書や契約書があり、金額に換算できるものだけが、請求に盛り込める。


この40万円というのは、わたしの恐怖や怒りの代償だ。

満額払って欲しい。

8万円で示談はありえない。

戦おう、裁判で。


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つづく


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第6話 示談を申し出られたときはどうするの?







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