第4話 弁護士ユーチューバーから裁判ノウハウを学ぶ

第3話までのおさらい

不動産屋と家主に対し、管理不行き届きのため契約金や家賃などの返金を求める内容証明書を送付するも無視された。

https://kakuyomu.jp/works/16818093087293193970/episodes/16818093087378898850


泣き寝入りするべきか、裁判をするか。

勝てない可能性も高いが、声を上げるためにも裁判を決意。


 *


弁護士のユーチューバーがいるのは知らなかった。

最近はどんなジャンルにもユーチューバーいるんだな。

でも、おかげでYouTube動画で簡易裁判を検索すると

何人もの人が説明動画を上げていてくれたので

ありがたく視聴した。

グッドボタンとチャンネル登録もした。


 *


以下は一例。


・弁護士中野秀俊のYouTube法律相談所

 https://www.youtube.com/@it-bengosi


裁判全般について、テーマごとに動画を作成されている弁護士さんの動画。

ずばり知りたいことが見られる。裁判について初心者向けの学習がある程度できる。

「裁判が1日で終わる?! 簡単な裁判? 少額訴訟とは」「裁判(民事)で勝つために!裁判のルールを知ろう!」「裁判の結果は判決がいい?和解がいい?弁護士が解説!」


・中小企業法務チャンネル

 https://www.youtube.com/@houmu_ch


株式会社プロローグの乗松さんという経営者さんと、新橋虎ノ門法律事務所の弁護士武山さんおふたりによる解説動画。具体的にどういう例で少額訴訟をするのか、実例がたくさん出てくる。裁判は特別な人たちのためのものではなくて、身近なものであることをイメージできる。


「【弁護士が解説】簡易裁判所とは?地方裁判所との違いと少額訴訟・支払督促・調停・即決和解の流れとやり方を動画で説明。」


・厚木弁護士チャンネル

 https://www.youtube.com/@atsugiben


裁判事例をたくさん解説してくれている。不貞行為、過払い金請求など、裁判の件数も多そうなテーマがいくつも並んでいる。自分の裁判とはあまり関係ないが、訴えから判決まで、裁判全般の流れをつかむのにいい。


よつば総合法律事務所

https://www.youtube.com/@%E3%82%88%E3%81%A4%E3%81%B0%E7%B7%8F%E5%90%88%E6%B3%95%E5%BE%8B%E4%BA%8B%E5%8B%99%E6%89%80


裁判官の心証を悪くしないなど、裁判の作法とか、心得を教えてくれる。知らないとたいへんなことになるかも。

「民事裁判でやってはいけないこと10か条【弁護士解説】」「【裁判】決定打になるこ

とがある有利な証拠TOP2【弁護士解説】」


・弁護士北村晴男ちゃんねる

https://www.youtube.com/@%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB%E5%8C%97%E6%9D%91%E6%99%B4%E7%94%B7%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%AD%E3%82%8B

クールな表情だけれどハートの熱い北村晴男弁護士が語る動画。

メディアに強いので、話し方もわかりやすいし、説得力も高い。

訴訟マニアがいるのか! というのもここで知った。

より強い執念がある人が結局は勝つという話も心に響いた。

「弁護士をつけずに裁判できる?→民事訴訟ならできます!ただし...」


 *


弁護士さんたちの動画をみながら、家賃の返金が目的ではあるものの、

裁判自体への興味もわいてくるというものだ。


 *


仕事で忙しいこともあり、準備に時間を費やすことができないが

できるだけモチベーションの高いうちに裁判を起こすべきだ。


弁護士の皆さんの動画をみて、ここは自分にも重要な点だと思ったのは以下のとおり。


(1)証拠を揃えて提出すること

(2)簡易裁判の申請書に、当日の裁判で言いたいことをすべてまとめること

(3)あきらめない気持ち


 *


(1)証拠を揃えて提出すること


裁判は刑事裁判は法律と照らし合わせて良し悪しで戦うが

原告・被告の双方に言い分があり

必ずしも良し悪しで決着がつかないことがある。

裁判官は証拠を元に法律・判決例と照らし合わせて判決を決める。


原告側は、最低限出せる証拠をすべて出すことに労力を惜しまない方がいいらしい。


 *


今回の裁判の場合、物的証拠(害虫の死骸)などがあるわけでもないので、

害虫の発生が度々発生していたこと

不動産屋の管理会社に都度連絡を入れていたこと

建物のすべてに駆除の対応を求めていたことなどを証明する証拠を提出することにした。

すべて証拠書類で、印刷物を用意する。


 *


<証拠書類一覧>

・賃貸契約募集書類:害虫駆除に関して相手が有利になる記載がないことを証明

・被告(不動産屋)と原告(入居者)とのメール:やりとりのすべてを証明

・請求金額に関わる領収書等:害虫の発生・駆除・掃除があったことを証明

・内容証明書:不動産屋と家主に契約金・家賃などの返却を求めたことを証明

・返金対象計算書:請求する金額総額を証明

・被害画像:退室間際にまだ害虫が発生していたことを証明


 *


最後の被害画像はとても小さい虫であったが、それ以前の虫のサイズの方が大きかったのだが、それは怖くて写真にも撮れなかった。恐ろしい、思い出したくない。


この数カ月、害虫の発生から不眠が続き

日常的に恐怖が離れなかったわたしには

害虫の写真など撮ることができなかった。

裁判で聞かれたら、そのように答えたい。


しかし、なんとか小さい虫の写真はiPhoneで3枚撮った。

これを証拠品として提出したい。


 *


証拠書類は裁判所(裁判官)、被告(今回は不動産屋と家主の2セット)

自分の分で合計4セットが必要になった。


わたしはキンコーズに行ったが、新宿のキンコーズが混んでいたので

その近くにある他の印刷会社で印刷をした。

かなりの量でレターパックプラスにぎりぎり入る厚みになった。


こうした面倒な作業を考えると、行政書士が17,000円を請求するのも理解できる。


 *


レターパックを送付して数日後、管轄する法務局から電話が来た。

こちらに裁判の訴状および書類が届いていると。

どうやら、わたしは簡易裁判所ではなく、法務局に送ってしまったようだ。


 *


法務局員:こちらでは訴状を受け取れないんですよね。

わたし:もらった書類に記載の住所を書いただけなんですけれど。

法務局員:こちらから裁判所に書類を送ることはできないので取りに来てください。

わたし:〇月〇日に取りにゆきますので保存しておいて頂けますか。

法務局員:わかりました。では〇〇宛に来て頂けますか。


 *


結局、後日法務局までレターパックを取りに行って、その足で簡易裁判所に行った。

結果的に、細部の記述修正があり、その場で書き換えたので出向いてよかった。

その代わり半日会社を休むことになった。


訴状提出、なかなか大変だ。


 *


裁判所の職員の人に迷惑をかけないようにする。

弁護士さんが動画で言っていた。

できるだけ粗相のないようにと気を付けた。

法務局の人、裁判所の人はとても親切で対応がよくありがたかった。

精神的にかなり弱っていたので、そのやさしさが心に沁みた。


やさしさがありつつ法律的にどちらかの味方のようなことはしないというところは

きっちりしていて、そこもとても信頼ができてよかった。


 *


(2)簡易裁判の申請書に、当日の裁判で言いたいことをすべてまとめること


裁判官さんは日常的にたくさんの裁判を抱えているとのことで、

裁判の当日に新しい証拠や情報をもらうよりは、

申請段階ですべての情報を把握できた方がいいと弁護士さんの動画で見た。

そのため、かなり長い文章にはなってしまったが、できるだけすべて記載することにした。


本当は、掃除のお姉さんの証言や、アパートの住人の話も盛り込みたかったが、

それは証拠として録音したり、書類を記載してもらっているわけでもないので

記載しないことにした。


 *


そのままの文章ではないが、以下のような内容だ。


 *


 私は、被告らから〇〇市〇〇(住所)所在の建物の一室を賃借しておりましたが、入居後すぐにこの建物で害虫(ゴキブリ)が発生しました。

 即時に駆除が必要だったため、即日不動産業の被告・(不動産屋)で報告をしましたが、被告らは借主が払うべきとして対応されませんでした。

 私が業者に依頼して侵入口を塞ぐための修繕をし、修繕費および修繕後の清掃費を支払いました。

 私は被告らに対し、被告らの管理責任で建物全体の害虫駆除をするよう申し出ました。

 私は業者による駆除および修繕後、10日程度ごとに薬の散布と清掃を行っていることと、駆除後も害虫が発生することを、被告らに報告していました。

 しかし、退居日に至るまで害虫の発生は改善されませんでした。住居として賃借したにも関わらず、入居から退居まで1日も寝食ができませんでした。退居にあたり、居住のために購入した家具については廃棄せざるをえませんでした。

 上記駆除・工事費用および清掃費用と、入居に必要とした費用を損失額として返金するよう内容証明書を送付し請求しましたが、被告らは無視しました。

 事前に住めない住宅であることが分かっていれば、契約はせず、ありえない損失でした。返金して頂きたいです。


 *


(3)あきらめない気持ち

最後は執念が勝つと、北村晴男さんが言っていた。

この言葉を胸にがんばろう。


 *


こうして弁護士さんたちのユーチューブ動画で学んだ(1)~(3)を準備した。

ほんとうに助かった。


 *


つづく


 *


第5話 訴状提出後、裁判官さんが訴状と証拠を確認するフェーズに入る





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