第2話 内容証明書で40万円を不動産会社と家主に請求

第1話のおさらい


賃貸契約した部屋にGが繰り返し出るため退出。

それまでにかかった費用を取り返すことはできないかと考えたのが

2024年5月のこと。

https://kakuyomu.jp/my/works/16818093087293193970/episodes/16818093087295772959


2024年11月にようやく簡易裁判をします。

今回は、退出してから内容証明書を送るまでの話です。


 *


「ミツモア」で5社の行政書士からオファーがあった。

9,000円~14,000円の幅があったが、

近い方が万一のときには出向けるし、

関東でできれば東京近郊の事務所がいい。


T事務所は東京の事務所だ。


「ミツモア」のプロフィールには

ラフなシャツを着た男性の写真が掲載されていて、

個人事務所であることが分かった。


仰々しいところに頼むような案件でもないので、

ここにした。


 *


オファー文は以下のとおり。


T事務所:(前略)

早い、安い、的確な手続きをモットーに経営しております。よろしくおねがいします。


 *


わたし:

お世話になります。(中略)


入居したアパートで害虫の出現がなにをしてもおさまらず、退去せざるおえない状況です。

その際に、オーナーと管理会社宛に入居に関わる費用、現在までの居住できていない居住費、退去費用、本日までに害虫駆除をした費用を請求したいと考えています。


内容証明書を送付予定ですが、選択肢としては、自力で作成して送る、弁護士さんに頼む、行政書士さんに頼むの3つを検討中です。


ミツモアでいくつかのご提案を頂きましたが、T事務所さんのHPを見せて頂いたところ、市民法務をなさっていることが分かりましたので、勝算があるか、泣き寝入りするべきかを含めてご相談に乗って頂けるとありがたいです。


 *


その後、T事務所と電話で話をした。


T事務所は、そうした案件は勝ち目がないと言ったが、

既に市民相談の弁護士に「裁判してみるのもいい」

消費生活センターの相談員に「内容証明書を送付してみるといい」

と言われていることを伝えると「それなら」と言って引き受けてくれた。

ただ、当初12,000円だった費用を手間がかかるので17,000円にするとのことだった。


 *


T事務所:

 行政書士報酬 15,000円

 行政庁へ納付する金額 2,000円

 合計 17,000円


 基本のお仕事内容

  内容証明郵便の作成サポート

  書類の発送代行

  配達証明書の受領と依頼者への郵送

   ※法定費用や印紙代などの行政庁へ支払う費用及び郵送料は除く


 *


わたしは「ミツモア」を通して17,000円を払った。


T事務所が請求する金額の一覧を送って欲しいというので

Excelで作成することにした。


 *


今までの費用について契約書や領収書を整理していたとき、

T事務所から連絡がきた。


T事務所:来週から海外に行くのではやめに送って欲しい


 *


海外・・・?

T事務所は本当はこの仕事を受けたくないのでは?

5,000円金額を上げたものの

それでも勝てない仕事、

その後に繋がらない仕事はやりたくないのかなと思った。


内容証明書はとても難しいフォーマットで

書面に不備があると郵便局で受け取ってもらえない。

行政書士に頼んだ方が適切なのではないかと思ったが、

T事務所に対して不安を感じたのでキャンセルを申し出た。


T事務所は快くキャンセルを受けてくれて

費用の17,000円もそっくり返却してくれた。


 *


再度「ミツモア」でこの案件を引き受けてくれる行政書士はいないかと

各行政書士のHPを読んでまわった。


W事務所は9,000円のオファーで

人柄のよさそうな行政書士さんだった。

スーツを着た年配の男性の写真が掲載されていた。

「長年の経験があり、信頼を得いる」

そう書かれていた。


オファーの文章を一部引用する。


 *


W事務所:

行政書士の〇〇と申します。

 名古屋市近郊において、民事業務を中心としたご依頼を承っております。

 これまでに、県庁職員として様々な職務に就き、その後の信託銀行勤務と幅広い経験を経て行政書士事務所を開業いたしました。


・・・とあいさつ文からはじまり、

 ・内容証明書郵便の説明

 ・申請できるトラブルの内容

 ・注意事項

 ・内容証明郵便作成・発送の流れ

  ①ご依頼内容の把握

  ②内容証明文の確認

  ③内容証明郵便の送達

が詳細に書かれていた。


 *


W事務所:

報酬等につきましては、すべてミツモア上のご案内にて、お支払いをお願いしております。


※以上、W事務所のオファー文を名称のみ伏せて引用させて頂きました。



すばらしい。すばらしく分かりやすい。人柄の良さが伝わってくる・・・


 *


ここにオファーをしてみようかと思った。

しかしT事務所の対応を鑑みると

勝てない勝負は弁護士と同様に

依頼を受けないことがあるのではないかと躊躇した。

実際T事務所はあの対応だった。


W事務所のオファー文で内容証明書のノウハウが少し分かった。

W事務所はいい事務所そうだが、

自分でできるならコストが抑えられる。


 *


内容証明書は相手に送った文章の内容を

公に証明してもらう手続きだ。


支払いを求める書面の場合は

相手に支払いを求めたことが裁判などで証明できる。


また、相手にはその後裁判を起こす可能性があることを伝えられる。


相手は裁判で負けるぐらいなら払おうと思う場合もあるし、

裁判でも勝てる、または裁判など起こせないだろうと思うこともある。


たとえコストを安く抑えて自分で送ることができたとしても、

相手が観念して支払う気持ちにさせないと意味がない。


 *


内容証明書が相手に与える印象の度合いというのは


弁護士事務所>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 行政書士>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

  >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>個人


というレベルで弁護士事務所を通して送る方が圧倒的に威圧感がある。


わたしも弁護士事務所から内容証明書が来たら

「終わった」と思う。

個人ならまだ話し合いの余地がある。


効果が見込めるだけにコストも弁護士費用の方が高い。

 弁護士:10万円を超える

 行政書士:T事務所は17,000円と通信費

 個人:通信費のみ


 *


お金があれば弁護士事務所に依頼したいが、お金に余裕はない。

弁護士事務所から送っても、不動産屋が観念する保証はない。


まずは、自分でできるか調べてみることにした。


 *


内容証明書は紙の書面で作成すると

1行26字以内で一枚に20行以内、

または1行13字以内で一枚に40行以内で書くことが決まっている。

印鑑の押し方など細かい規定がある。


内容証明書でネット検索をしたところ、

「e内容証明書」というものがあることが分かった。

郵便局のHPにアカウントをつくり

Wordで作成した内容証明書をサイトに登録。


費用をクレジットカードなどで払うことで

書面の内容証明書よりもはるかに簡単に

内容証明書を相手に送付できる。


記載する文章も平明分で問題ないらしい。


これならできそうだ。


 *


内容証明書の下書きには、

賃貸物件で害虫が発生してからの退去までの出来事と

このようなときのために保存していた

不動産屋の担当者とのメールのやり取りを

請求原因としてまとめた。

被害総額の各小計と合計金額、口座番号を明記した。

総額は40万円程で、支払い期日は2週間後だ。


 *


「e内容証明書」では文書作成ソフトに

Microsoft Word 2016, 2019, 2021

またはMicrosoft 365(デスクトップ版のWordのみ)が指定されていて、

より安価なWPSなどのソフトは対象外だった。


 詳細はこちら「e内容証明書」

  https://www.post.japanpost.jp/service/enaiyo/index.html


私はWPSを使っていたので

試しにWordで作成された文書をダウンロードして

WPSで編集して保存したものを用意したが、

e内容証明書に登録することができなかった。


 *


しかたなくMicrosoft365を登録することにした。

いつもはOfficeを使うような仕事や趣味を持っていないので

内容証明書を作成する数週間だけでいい。

費用についてMicrosoftの問い合わせチャットに尋ねた。


 *


Microsoft:年間16,315円です。

わたし:1ヶ月契約とかないんですか。

Microsoft:ないです。

わたし:なるほどー

Microsoft:でも、初月無料です。

わたし:まじですか!


 *


運よく今までにMicrosoft365に契約をしていないことを確認し

カードで契約をすませた。

下書きで用意していた文章をWordにコピペして保存

「e内容証明書」にも登録を終えた。


文書名など幾つか手間取ったがエラーメッセージの指示通り

何度かやり直せば登録まで持ってゆける。


 *


不動産会社と家主に1通ずつ1通あたり1,300円程で送付できた。


 *


しばらくして、わたしにも内容証明書の控えが送付されてきた。


電子文書らしく外から覗くことができないように

目隠しが印刷されている。

中身は1枚目に宛名が書かれており

2枚目から文書が開始していた。


こんな風になっているなんて。

今ごろ不動産屋と家主にも同じ封書が届いているのか・・・。

勉強になるな。


これは簡易裁判になる場合に証拠として提出できる!


内容証明書が届いて

こりゃいかんと振り込んでくれるような不動産屋と家主であれば、

住んでいる間にこちらの困りごとにも対応してくれていただろう。


内容証明書が届いて、無視したという事実は

裁判の際に裁判官に印象が悪いとネットに書いてあった。


まずは支払い期日を待ってみることにした。


 *


つづく


 *


次回:不動産屋と家主が内容証明書を無視したので

   いよいよ簡易裁判の準備を決意

   ネットで判例を探す

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