第32話 過去と今
あれは、確か━━━━━━
「━━━━━━俺と......付き合ってください!!!」
急に呼び出され、そう言われた記憶がある。
当時私は戸惑ってた。
深く頭を下げ、私の方に手を向けていた。
千藤は本気なのだろう。
ただ、私はどうすればいいか分からない。
このまま手を取れば、千藤と付き合うことになる。
彼氏いた歴0年の私にとってはいい経験にはなるのかもしれないし、段々と好きになるかもしれない。
逆に、ここで私が頭を下げて「ごめんなさい」と言えば、ならないとは思っているけど、面倒なことが起きたりする可能性だってある。
そう思い、私は、「自分が本当はどう応えたいのか」をよく考えずに差し出された千藤の手を取ってしまった。
□
「これが最初。告白される前の裕也と私は友達って感じの関係だったのは一応言っておきましょう」
「今のところは何か怪しい感じはなかったけどなぁ」
木滝さんが「自分の本当の意思」で告白に応じたのかどうかは怪しいが......。
「それで、まぁ続きなんだけど━━━━━━━」
そう言って、木滝さんが続きを話そうとしたその時「バン!!!」と思いっきり扉を開ける音が真後ろからした。
驚き、振り返るとそこには3人の人影が。
その3人は━━━━━━
「浜野さん? それに佐藤さんに河野さん? なんでこんな場所に......?」
まさかこの3人も遅刻したとかそういうわけじゃないよな?
「いや、朝のこと関連なんだけど、さっき、君たちに関係のある『不審者』を捕まえたんだけど......どう? 話に来る? その人と」
体育館倉庫の真後ろを親指で指している。
その方角には、いつもの化学室がある。
そして、俺たちに関係のある不審者......おそらく━━━━━━━
俺は木滝さんの方を見た。
どうやら木滝さんも何となく察しているようで、俺に向かって頷き、佐藤さん立ちに向かって「今すぐ行く」と言った。
この長いようで短い面倒ないざこざに終止符を打つために、俺たちは、不審者━━━━━━おそらく千藤裕也のいるであろう化学室に向かう事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます