八葉矢くん、尾行する
海斗の様子が少し変━━━━━━━━
昼休みに言った通り、弁当箱がいつもと違うし、弁当の中身もいつもより豪華だった。
そして、海斗本人には言っていないが、目の下にうっすらとクマが出来ていたり、無臭だったあいつがいつもよりもいい匂いがしたりと、一瞬にして人が変わったのではないかと思わせる程の変化だった。
少しの変化ではあるが、これらの理由で俺は尾行を始めることにした━━━━━━━のだが......
「あいつら......いつまで教室で喋ってるんだ?」
俺の視線の先には、教室の中で雑談している海斗と木滝がいる。
内容はあまり聞こえない。
放課後、残ってでもしなければいけない話でもあるのだろうか?
それに、いつ海斗は木滝とあんなに仲良くなったんだ?
ただ、海斗の変化は木滝が関係しているのは間違いないな。
帰ろうか迷いながらしばらく待つと、海斗と木滝は教室を出て行った。
「やっとか」と愚痴を零しながら、俺は2人に気づかれぬようにあとをつけた。
□
2人が学校の外に出た時、すぐに疑問に思ったことがあった。
海斗が自分の家とは違う方向に歩いているのはなぜか? という疑問だ。
もしかして、海斗と木滝って付き合ってるんじゃ......?
もしそうならば、俺は「友達とその彼女の帰りを尾行するただの変態」になってしまう。
そうなると、周囲からは俺のファンクラブの人達とは、比べ物にならないほどのヤバいやつとして認識されかねない。
俺は何も成果を得られずに、来た道にもどることにした。
「━━━━━んなよ━━━━━」
「ん?」
来た道に戻り、そのまま帰ろうと歩きだそうとした時、すれ違ったフードを深々と被った他校の人がそうつぶやくのが聞こえた。
何かあったのか━━━━━━そう思ったが、知り合いでもない他人に話しかけるのはあまりしたくないし、相手も同様だろうと思ったため、俺は帰るために歩き始めた。
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