第28話 手がかりは、突然に

翌日、俺は龍希ファンクラブの人達から呼び出しされた。


木滝さんも連れてきて欲しいとの事。


「急に呼び出しってなんだろうね?」


「いや、さっぱりわからん。ファンクラブの中に俺たちにちょっかい出して来てた人がいたとかかな?」


詳細は何も聞かされていない。

ただただ「化学室に雪ちゃんと一緒に来て」としか連絡はされていない。


......あれ? 俺、いつ連絡先交換したっけ?


謎を残しつつも、約束の時間に俺たちは化学室を訪れた。


「おっ! 来たよ、桃花! 結花!」


化学室に入ると、そこには河野さん、浜野さん、佐藤さんの3人がいた。


「こんにちは、浜野さん。急に呼び出してきたけど、どうかしたんですか?」


「うん、呼び出した理由としては、『昨日あることがあったから』なんだけど」


「「『あること?』」」


俺と木滝さんは同時に聞いた。


「昨日の話になるんだけど、少し長くなるから、覚悟しておいてね?」


そう言われて、浜野さんたちが話し始めた。





「いた! 八葉矢くん」


「ほんと!? どこどこどこ!!!?」


「ちょっ!? 桃花、隠れなさいよ!」


桃花と結花、そして私、浜野はファンクラブの活動......法に触れない範囲で龍希の生態観察(ストーカー)をしていた。





「うわひでぇ......」


俺は、無意識にそう呟いていた。


「うんうん」


俺が漏らした一言に、木滝さんも同意した。


「ちょっと!? 真面目に話聞いてください!!!」





「八葉矢くん、今日もイケメンだなぁ......」


桃花がそう言う。


「いや、龍希は確かにイケメンだけどさぁ......もう少し思うところがあるでしょ? 別のことで」


私の思っている『思うところ』。

それは、龍希の帰り道がいつもとは違うということだ。

それに、何かコソコソしてるようにも見える。


「美優、どう思う?」


「......あれはきっと、誰かを追っていますね」


私は、カバンの中に予め入れて置いた双眼鏡で、龍希が向かっている方向を見た。


龍希の前に2人組......あれ?


「龍希の前に雪ちゃんと......誰だっけ? あの男の子......まぁ誰かいる」


「どれどれ? うーん......あれは多分学くんじゃない?」


結花は私から双眼鏡を借りて、例の2人組を見ながらそう言った。


「どうしてあの2人の尾行してるんだろ?」


私たちがそう思っていると、もう一人、怪しげな服装の男が物陰から身体を出しているのが見えた。


その人物は、突然Uターンした龍希とすれ違って、そのまままっすぐ道を進んで行った。


もしかしたら......そう思い、私たちは龍希のストーk......尾行をやめ、怪しげな服装をした男について行った。





「━━━━━━━っていうのが昨日あって......その男の写真がこれなんだけど」


そう言って、浜野さんは1枚の写真を机に置く。


俺はよく知らない。

ただ、木滝さんは━━━━━━━


「この人は......私の━━━━━━」

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