第20話 手紙の真相
まだ終わっていない。
ファンクラブの一員が......?
確かに俺と木滝さんは、間宮さんと違って昼休みに仲良くなったりしていない。
いや、そもそもの話があるだろ!
なんで俺と木滝さんが音楽室にいるということを知っているんだ?
2-2のファンクラブのメンバー?
それでも確認出来るのは、俺と木滝さんが一緒に教室を出るところだけだ。
それに、ほとんど人が居なくなった時に、俺と木滝さんは教室を出ているんだ。
見られる可能性だって少ないはず。
尾行された......?
昨日の一件で始まったことなのに、そんなにも早く俺たちが音楽室にいることを知ることが出来るか......可能性は低い。
放課後に俺と木滝さんが音楽室に行くということは、先生とここを使うかどうかを聞いた1年生の吹奏楽部の人くらいなはず。
「━━━━ん! ━━━━みくん! ━━━━真波くん!」
「え?」
「もう、急に黙って下向いて、何回呼んでも反応しないし......」
呼んでいたらしいが、色々考えすぎていて何も聞こえなかった。
「ああ、ごめん」
「いいけど、とにかく今は、もう一度化学室行ってみよう? なにかわかるかもだし」
「わかった、行ってみよう」
そうして、俺と木滝さんはほとんど人のいない廊下を歩いて、化学室まで行くことにした。
□
「いや、その時間は誰も外に出てなかったし、出ていった人もいないよ」
化学室に着き、佐藤さん辺りにでも聞いてみようと思っていたのだが、何故かまだ学校には間宮さんがいた。
なので、その時間の人の出入りについてを聞きはしたのだが、どうやら出入りはなかったらしい。
「誰もいなかった......てことはファンクラブの人じゃないってこと?」
不思議そうに言う木滝さん。
「そうなるね」
ただ、そうなると気になることが出てくる。
「間宮さん、話で言っていた紙って誰の仕業だったかわかる?」
「あの紙? あの紙なら確かにファンクラブの皆が嫌がらせ目的でやったって言ってくれたけど......もしかして雪たちも持ってるん?」
「俺は持ってないけど、木滝さんはロッカーの中に入っていたって言ってて━━━━━━━」
「それはないと思います」
突然話に入り込んできた人......佐藤さんがそう言う。
「それはないってどういう......?」
「そうですね、まず、あの嫌がらせの紙は私たちが考えて書いたものなのは認めます。ですが、書いた紙は1枚だけで、優香ちゃんだけに送ったはずです。なので、木滝さんの紙は私たちの仕業ではありません」
それだと、木滝さんの紙はなんだ?
もし、佐藤さんの言っていることが正しければ、木滝さんの手紙はファンクラブにメンバーからの物ではない。
そうなると......
「木滝さん、間宮さん、ロッカーの中に入ってた紙って、今出せたりする?」
俺がそう聞くと、木滝さんは、朝に見せてくれた時と同じポケットから、間宮さんは、カバンの中のファイルから取り出し、それぞれ机に置いた。
2つの紙の共通点は━━━━━━━━ない。
代わりに違うところは多々ある。
1つ目は、そもそも使っている紙が違う。
2枚書いていたとしたら、それぞれ違う紙に書くという行動は、あまり意味も利点も無い。
2つ目は書き方。
字、文字の大きさ、字の詰め方などが多少違う。
最後に、書いた人の気持ちだ。
これは俺の勝手な想像に近いのだが、両者の書いた時の筆圧が明らかに違う。
木滝さんの紙の方は、間宮さんの紙の方よりも筆圧が強い。
そして、ちょっと雑に書かれている。
「木滝さん、間宮さん、あと佐藤さんも。この紙って別人が書いたと思いますか?」
「「「うん」」」
3人とも俺と同じ考えらしい。
ほとんど手がかりがない今、考えるだけ無駄な気もするが、話し合うことにはなった。
しかし、話し合っても誰が犯人なのか、どういう理由で俺や木滝さんを狙ったのか、色々考えはしたものの、何一つ分からず一日が終わってしまった。
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