第19話 再び

結局あれはなんだったんだ......?


放課後になり、いつも通り木滝さんと音楽室にいる。


いつもなら木滝さんの演奏をちゃんと聴くのだが、昼休みのあっけなさと、本当に解決したのかどうかの疑問のせいで、演奏を聴くのに集中出来ない。


あの終わり方だとモヤモヤしてたまらない。

聞きたかったことは、ほぼ全部聞くことが出来ていないことという事実が多分大きいのだろう。


「ねぇ、ちゃんと聴いてくれてる?」


いつの間にか演奏を止め、俺の方に体を向けていた木滝さんにそう質問された。


「あぁ、うん、聴いてたよ......うん」


「最後の『うん』がめっちゃ怪しいんだけどなぁ......」


確信しているのよな感じで俺をじっと見る木滝さん。

可愛い、可愛いのだが......


「はい、すみません。聞いてませんでした」


怖い。

さっさと白状しろ、圧だけでそう言ってる。

白状しなかったら、本気で命に関わりそうだったので白状するしかなかった。


「真波くんは、なにかまだ気になってることとかあるの?」


「いや、まぁ......ねぇ?」


「なにかまだ気になってることとかあるの?」


「......デジャブ?」


選択肢が2つあり、ちゃんとした方を選ばないと進めないゲームのシーンのような感じになってしまったので、俺はまだスッキリしていない所を言うことにした。


「確かに、間宮さんと龍希のファンクラブの関係は良くはなったと思う。けど、なんかよく分からない終わり方だったしさ。それに、昨日の音楽室の扉とか、木滝さんに話してないけど、朝の俺の家の謎のインターフォンの件とかも、彼女たちがやったのかの真相はまだはっきりしていないから、個人的には終わり方がちょっとなぁって感じかな」


どっちもファンクラブの人たちがやったことだと思うが。


「化学室の中がちょっと予想外すぎて意識飛んじゃったから、私はあんまりよくわかんないや」


「えぇぇ......」


呆れを通り越して自分でも無意識に引いてる気がする。


「でもさ、そんなに気になるんだったら、今からでも突撃すればいいんじゃない?」


そうは言っても......

今は放課後だが、おそらくファンクラブの数人はいそうではある。

もしかしたら犯人がいるかもしれない。

別に責めたりしようという訳ではない、俺の疑問に終止符を打つためだ。


行ってみようと思い始めたその頃だった━━━━━━


「バン!!!」


大きな音とともに、音楽室の扉が勢いよく開いた。


「「え?」」


音楽室の扉からは誰も入って来ない。

扉の先を見てみるが、誰もいない。


俺は、まだこの一件が終わっていなかったことに、気付かされた。

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