第16話 小さな冷戦2
3時限目開始からおよそ27分。
半分と少しが過ぎた頃、俺はあることに気づいた。
ちょくちょく視線を感じるのだ。
主に......というか、全部女子からの視線なのだが、俺がなにか彼女たちにやらかしてしまったのだろうか、そう思ってしまう。
だが、その視線を浴びているのが俺だけじゃないことに、少し経ったあとに気づいた。
間宮さんも俺と同様、多くの女子に視線を向けられていた。
俺と間宮さんが何かやらかしたのか......?
......いや、やらかしたことならある。
主に間宮さんが。
ファンクラブとの対立だ。
このクラスは、龍希のことが好きな女子しかいないと言ってもいいほどに、龍希好きの女子がいる。
なら、そのうちの数人、十数人、全員がファンクラブに加入している可能性だって十分にある。
「ピロン♪」
俺が思考を巡らせていた時、教師が長々と喋っている教室に、大音量の着信音が鳴った。
......俺のカバンの方から。
「......誰だかわからんが、ちゃんと授業中はスマホの電源切っとけよ? まったく......」
何とかバレはしなかったが、なぜ急に着信音が来たのか。
俺のスマホで着信音が鳴るとしたらRAINだけだ。
そして俺のRAINには、龍希と木滝さんしか連絡先はなかったはずだ。
今、龍希は寝ている。
ならば......
先生が後ろを向いている隙に、こっそりとスマホを取り、先程の通知の原因であろうRAINを確認してみると......
「雪)真波くん、気づいたら返事して」
俺はメッセージの送り主の方、真後ろを向いた。
「あはは、ごめんね。まさか通知音が出るとは......」
「いや、大丈夫だよ。それよりどうかした?」
苦笑いをしながら声を低めて俺に謝る木滝さんに、俺は何かあったのかを木滝さんと同じ程の声量で聞いた。
「視線、感じない?」
「木滝さんも?」
「うん、ちょくちょく見られてる気がする」
どうやら木滝さんも感じていたようだ。
だがこれで、ファンクラブが関わっていることはほぼ間違いないということがわかった。
完全にファンクラブ側は、俺たちのことを敵視してきてはいるが、まだどちらも怪我が起きるような問題は起きていない。
大事になる前に決着をつけなければ......
そう思い、俺は昼休みまでの時間を過ごした。
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