第5話 最強魔王、ノータイムで揉みに行く




「待て待て待て、クリューネ。その娘は殺すな」



 俺はいきなりマリアリッテを殺しにかかってきた爆乳少女を止めた。


 この少女の名前はクリューネ。


 アルテナと同じ俺のメイドの一人であり、魔王軍の幹部だ。

 前線部隊を率いており、カーランド王国の決死隊を討伐しに出撃していたはずだが……。



「クリューネ、敵はどうした?」


「全員ぶっ殺したよ、バル様!! アイツら馬鹿だからぁ、可愛いボクがちょーっと笑顔でおねだりしたらすぐ同士討ち!! ホント人間ってザコザコだよね!!」



 無邪気に楽しそうに話すクリューネ。


 クリューネは魔界で最も魅了魔法の扱いに長けているサキュバスだ。


 彼女が一人いるだけで戦況はひっくり返る。


 実際、カーランド王国の王都を奇襲した際も住民に魅了魔法を振り撒き、兵士たちと同士討ちさせた実績がある。


 ただし、ちょっぴり性格が悪い。


 自分の可愛さを理解しており、魅了にかかった相手は例外なく雑魚扱いだ。


 まあ、前世の紳士たちが聞いたなら分からせ甲斐のあるメスガキだと思うが、俺には猫撫で声の可愛いメイドだ。


 顔面が良すぎてつい甘やかしてしまう。



「で、バル様。バル様に生意気な口を利いたこのゴミは何? ぶっ殺していい?」


「ひっ」


「やめろ、クリューネ。この少女は……俺の友人のようなものだと思え。酷いことはしないように」


「バル様のお友達?」



 クリューネは俺とマリアリッテを交互に見つめ、すぐに生意気な笑顔を見せた。



「なーんだ、それならそうと言ってよ!! よろしくね、ゴミ子ちゃん!!」


「ゴ、ゴミ子……?」


「そ。バル様に近づく女は全員ゴミ!! だからゴミ子!!」



 悪意を一切感じさせない満面の笑みでマリアリッテに話しかけるクリューネ。


 クリューネはすぐにマリアリッテから興味を失くしたのか、俺に近づいてきて大きなおっぱいを腕に押し付けてきた。



「バル様バル様ぁ。ボクぅ、ご命令通りにバル様に逆らう生意気な連中をぶっ殺したんだよぉ」


「そ、そうか、ご苦労だったな」


「でねでね!! ボクぅ、バル様からご褒美が欲しいなーって。ダメぇ?」


「……ごくり。あ、ああ、何でも言うといい」



 くそっ、このメスガキまじで可愛い!!


 近くで見ると更に顔面の破壊力が半端なく、おっぱいも最高だ。


 そう、おっぱい。


 アルメナのおっぱいよりも弾力がある餅のようなおっぱい。


 俺は思わずガン見してしまった。


 目と肌でその感触を堪能していると、クリューネは何かに気付いて目を瞬かせ、嬉しそうにニヤリと笑った。



「ねぇねぇ、バル様!! もしかしてボクのおっぱい見てた!?」


「え、いや、み、見てないが……」


「嘘!! 絶対に見てた!! そっかぁ、やっとボクの可愛さがバル様にも通じたんだね!! えいえいっ!!」



 ぐいぐいとおっぱいをより強く押し当ててくるクリューネ。



「や、やめろ、クリューネ」


「やーだー!! えへへ、このままバル様をボクの魅力で虜にしちゃうんだから!! バル様なら特別にボクのおっぱい、揉み揉みもしていいよぉ?」



 俺はノータイムで揉みに行った。


 ほぼ無意識の、あまりにも自然な超スピードでおっぱいを揉みしだいたのだ。


 俺もクリューネも一瞬、時間が止まった。



「ひゃんっ♡ え、あ、バ、バル様? 本気でボクの虜になっちゃったの?」


「……すまん。わざとではない」


「え!? いや、がっつり揉んだよね!?」


「わざとではない」



 わざとではないと言ったらない。



「もぉ!! バル様のエッチ!! 正直に言ったらもっと凄いことしてあげようと思ったのに!! もう知ーらない!! ぷんだ!!」


「もっと凄いこと、だと!?」



 俺がクリューネの言葉に反応した時にはもう遅かった。

 顔を真っ赤にしたクリューネが大広間から飛び出してしまう。


 ……惜しいことをしたかも知れない。


 正直にわざと揉んだって言ったらクリューネみたいな爆乳美少女とワンチャン――



「あ、あの、私はどうすれば……?」


「あ、すまん。忘れてた」


「……そうですか」



 それからマリアリッテを地下に幽閉し、俺は着実に地上の征服を進めた。


 ところが、ある日の出来事。


 カーランド王国の周辺に位置していた国家が連合を組み、魔王軍に抵抗を始めたのだ。


 マリアリッテが言っていたように数百年前の予言が当たっていたという理由で彼らは一致団結したらしい。


 俺が見逃してやった女騎士や青年が各国に働きかけたのかも知れない。


 しかし、魔王軍には圧倒的な物量がある。


 更に言うなら個としての強さは人間たちを遥かに上回るだろう。


 所詮は無意味な抵抗。


 俺が本気を出せば容易く滅ぼせるが、その必要すらないというのが魔王軍の共通認識だった。


 ……甘かったと言わざるを得ない。


 たしかに俺に勝てる者はいないだろうし、実際にその通りだ。

 でも、俺は前世の記憶を思い出したことで生じた弱点を明確に把握していなかった。


 その弱点が判明したのは、俺自ら連合軍十万を相手にした時だった。







―――――――――――――――――――――

あとがき

どうでもいい小話


作者「メスガキ……分からせねば……」


バ「分からせられる展開もいいよな」



「メスガキ!!」「お姫様忘れられてて草なんだ」「分からせねば」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。

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2024年10月29日 07:08
2024年10月30日 07:08
2024年10月31日 07:08

最強魔王は地上を征服中、でも美人勇者たちのおっぱいが凄すぎて戦いにならないんだが。 ナガワ ヒイロ @igana0510

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