第2話

私の彼氏はとても優しい。



誰にでも友好的で常に笑顔で、大学内でも有名な人気者だった。サークルではサッカーをやっていてとても上手。



涼しげに短くカットされた黒髪は、彼の整った顔立ちを引き立たせて初対面からでも爽やかな好青年の印象を受ける。



そんな彼と、なんの取り柄もない私が付き合えたのは奇跡だと思う。



出会いは大学4年生の冬。単位も卒論もほとんど終わっていた私が、大学に用事のあった友人を待つ為に立ち寄った図書室。



"難しそうな本読んでるな?"



席にも着かず本棚に背を預けてなんとなく手に取った本を読んでいた私に、彼が声をかけてきた。



大学内でも有名だった彼のことは入学当初から知っていたけど、それまで特に交友もなかったから、彼の気まぐれで声をかけられたのが私と彼の始まりだった。

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