第3話
「えー今さら?…まぁ別にいいけど。今まで散々我儘言って俺を焦らしたんだから、それなりのペナルティは受けてもらうよ?」
御影くんによって身体をくるりと反転させられる。
「これ、飲んで」
「え…」
御影くんのポケットから取り出された小瓶。私の顔の目の前で揺られる小瓶の中の液体がユラユラと波打っている。
「これ、は…?」
「言ったら面白くないじゃん」
そう言って不敵な笑み浮かべ蓋をあけた御影くん。私の口元に近づけられた小瓶からは、微かな甘い匂いが漂ってきて一瞬頭がクラッとした。
「ほら。早く口開けてくれる?」
いつまでも固まっている私に苛立ったように声を低くした御影くんに、背中にじっとりと汗が伝う。逃げようにも腰にまわされている片腕のせいで動くことができない。
だれか…だれか助けてっ…
タイミングよくだれか来てくれることを願って視線だけを彷徨わせる。
「あー、ムカつく」
「…やっ!」
だけど現実はそんな甘くなくて、苛立った御影くんが私の後ろ髪を下に引っ張った。チリッと痛みが走ったと同時に顔が上を向く。
「んんっ!?」
やばいと気づいた時にはすでに瓶が口に押し込まれていて、液体が喉を通過していた。
「ゲホッ、ゲホッ…!」
なんとも言えない味が口の中に広がり、恐怖に震えて落ちそうになった腰を御影くんに支えられる。
「じゃあ鬼ごっこ始めようか?10秒数えたら追いかけるから、逃げていいよ」
頭上から掛けられる声にビクリと体が反応してしまう。鬼ごっこをする前に今私が飲んだものが何なのかを教えて欲しい。そう思って御影くんを見上げた。
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