第11話

「俺と小春は一生離れることはない」


「んっ!」



ゆっくりと落とされた言葉と重なった唇。



それと同時に愁くんの手が私のお腹を撫でて、ゆっくりと上がってくる。地肌に直接触られた恥ずかしさと驚きで熱くなる体。



「小春、手を俺の首にまわせ」



絡み合うようなキスと愁くんの手つきで熱に浮かされた私の耳に届いた声は、妖艶という言葉がぴったり合う。



だけど私はどうしても腕を動かすことができなかった。



だって腕を動かしてしまったら、隠している胸が見えてしまう。



「小春」



唾液に濡れたお互いの唇が少しだけ離れた時、戸惑いを隠せない私に愁くんはゆっくりと笑った。



「俺が今から小春にすることは、俺達がこれからずっと一緒にいるために必要な行為なんだ」


「…え?」


「もし小春がそれを拒むなら、俺は小春と一緒にはいれない」



鼻が触れてしまいそうなほどの至近距離。


愁くんの顔は真剣で、紡がれる言葉に再び視界が滲む。



「嫌!拒まないからっ、私はどうしていればいいの?」



頰に流れた涙を、笑みを深めた愁くんが拭う。



「小春は俺の言うとおりにしていればいい」


「愁くんの、言うとおり…?」


「あぁ。だからまずは、俺の首に腕をまわせ」


「うんっ」



私はゆっくりと愁くんの首に腕をまわした。

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