第9話
貪るような荒いキスに体がこわばって、愁くんの肩をぎゅっと掴んだ。さっき愁くんが言った”抱く”の意味を考えたいのに、酸素の足りない頭がそれをさせてくれない。
「んっ、ぁ…」
腰を抱いていた手が這うように上がってきて、くすぐったいと感じた瞬間に胸の締め付けが無くなった。
愁くんの肩に置いていた手をおろされて、私の腕から何かがスルリと落ちていく。それと同時に肩を押されて、力の抜けた私の体はゆっくりとベッドへ倒れていった。
「小春、目を開けろ」
「んっ、はぁ…はぁ…」
目を開けた先にいるのは私に跨った愁くん。
その時に気づいた私の上半身は何も身につけていなくて、慌てて両腕で胸を隠した。
「し、愁くんっ?なにするの…?」
これから愁くんが何をしたいのかが分からない。
服を脱がされる意味もわからなくて、不安と恥ずかしさで涙が滲んだ。
そんな私を無言で一瞥した愁くんはゆっくりと学ランを脱ぎ始める。
「え、あ、」
細く引き締まった愁くんの体を見るのは初めてで、視線のやり場に困った私は再び目を閉じた。
バサリと学ランとシャツをベッド下に落とした音がして、私の顔の両側が沈む。そして、胸を隠していた両腕に体温を感じた。
「だれが目を閉じていいなんて言った」
熱い吐息が耳にかかる。
「無理やり犯されたくなかったら、目を開けろ」
言葉の意味は分からない。
でも、声の低さに少しの恐怖を感じてゆっくりと目を開けた。
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