第4話

愁くんを待つことなんてできなくて、急いでセーラー服に着替えて準備をする。朝食を…と考えていると玄関が開く音が聞こえた。



「小春、準備できたか」



私の家の合鍵を片手にリビングに入ってきた愁くんは学ランに身を包んでいて、もう準備万端という感じ。今から朝食をとることになれば愁くんは家に帰ってしまうかもしれない。



だから今日は食べないで行こう。



「うん!できたよ!」



笑顔で愁くんに近づけば、その綺麗な顔の眉間にシワがよる。疑いの眼差しだ。



「嘘つくなよ」


「え、」


「朝飯食ってねぇだろ」



…愁くんには全てお見通しのようだ。



「…うん」



怒った愁くんを見ていられなくて俯けば、そっと背中に腕が回って抱き寄せられた。



「明日からは小春が嘘つけないように、一緒に朝飯食うからな」


「え!」



耳元で囁かれた言葉に勢いよく顔を上げる。



一緒に朝食を?愁くんと?毎日?



見上げた愁くんの顔は微かに微笑んでいて、その真っ黒な瞳に映る私の顔は嬉しそうに目を輝かせていた。

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