第12話
「俺の信用を取り戻してみろ」
そう言って不敵に笑った愁くんが私の腕を首から離し、ゆっくりと起き上がった。
その静かな怒りに体が震える。
「小春の言動次第で未来はいくらでも変わる」
「え?…あっ!」
まだ準備のされていないそこに走った痛み。
前戯なしの貫きに涙が溢れた。
「痛いっ!愁くんっ…」
いつもは優しく抱いてくれるのに、今日の行為は荒々しい。腰を掴んで離さない手。初めから激しく突かれる腰。私を揺さぶる愁くんの顔は歪んでいる。
月明かりに照らされた愁くんの体は初めて私を抱いた中学生の頃より逞しくなっていて、妖艶なその姿に背中がゾワリとした。
「あぁ…っう…んぅ…」
感じ始めた私に愁くんが重く覆いかぶさってくる。
「小春は俺が嫌いか?」
憂げな眼差しで聞かれたその言葉に首を横に振る。
私が愁くんを嫌いなわけがない。小さな頃からずっと一緒に居てくれたのは愁くんだけだった。それなのに、大切な約束を破って愁くんを傷つけてしまった。
揺すられたまま愁くんの首に腕を回す。
「愁くんっ、ごめんなさい…私を嫌いにならないでっ」
愁くんに嫌われてしまったら、私はどうしたらいいか分からない。
「クッ…ハハッ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます