-
第7話
地下駐車場から社長室直通のエレベーターに暗証番号を打ち込むと、音も立てずに動き始めた。
俺の腕の中で眠る小春は、これから自分に起こるであろう結末をまだ知らない。目を覚ました時にはもうすでに未来は決まってる。いや、もっと前から決まっていたな。
最上階に着いたエレベーターから降りればすぐ目の前にある扉。俺はそれを怒りを込めて蹴破った。
「クソ女」
バンッと響き渡った衝撃音に、社長席に座ってパソコンを打っていた女が怪訝な顔をして視線をこちらに向けてくる。
「ちょっと!!何してっ…は?小春ちゃん!?」
「今日で終わりだ」
「は?」
俺の言葉に心底意味がわからないという顔をするその女は、俺の5つ上の姉。小春の就職先に選んだ女しかいないこの会社の社長。
「何の為にてめぇに小春を任せたと思ってんだよ」
「は?何のことよ。私はちゃんと約束守ってましたけど!?」
「小春はこの会社でお前の男と口をきいた」
「はぁ?祐介さんと小春ちゃんが会話するタイミングなんてないわよ!何言ってるの!?」
怒鳴り散らす声を無視して、ソファに下ろした小春の首からネックレスを外し投げつけた。
「今日の12時頃お前の旦那この会社に来てただろ」
「なんで知ってんのよ。…何よこれ。盗聴器?」
キャッチしたネックレスのダイヤの部分を睨みつける姿に口角を上げた。これで分かっただろう。
用は済んだと小春を抱き上げれば、待ちなさいと止められる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます