第45話

「白石さんは俺のなんだから逃がすわけがない」



そう言った柏木君に背筋がゾッとした。



「それに三島は二度と白石さんには会えない」


「…え」


「俺の白石さんを好きになった三島が悪いんですよ」


「あなた…何を…知ってるの…?」



笑顔で意味深な言葉ばかりを並べる柏木君に、私は三島の身を暗示た。



柏木君は普通じゃない。


徐々に自分の体温が下がっていくのが分かる。



「あぁ、大丈夫ですよ生きてますから」



どこかでね、と付け加えて笑う。




「白石さんは…」



無事なのだろうか。生きているのだろうか。



私は白石さんと柏木君のことを深く知っているわけではないけれど、何故か無意識のうちにそう口にしていた。



「もう俺の中に堕ちました」


「は…?」


「だからぁ、生きてますよ」



意味が分からなかった。


私の質問に対する答えには的が外れすぎている。




…だけど




「じゃあ、仕事があるので」




意味は分からなかったけど、私は確実にその言葉に狂気を感じた。

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